■日本国民同様に取締は行われているものの……

 青地に白文字で書かれている「外」「領」が頭につくナンバー・プレート、通称「外交官ナンバー」。日本に駐在している各国の大使館員や領事館員などが使用するクルマに発行されていて、外務省によると2020年12月18日現在、外交官の車両に対するナンバーの発行は1982台分とのこと。

 外交官にはウィーン条約で外交官特権が認められていて、公館の不可侵や刑事裁判権・租税の免除などが認められている。そのため、外交官ナンバーのクルマは、駐車禁止を犯しても違反キップを切られないといった噂があるが、それは誤った情報だ。


 昭和44年4月18日に「外交特権を有する者に対する交通反則通告制度の適用」(交指発甲第47号)という通達には、

  『(5)いわゆる外交ナンバーの車両で、運転者不在の駐車違反を現認した場合は、ラベル(警告書)をはり付けするとともに、当該車両の属する外交機関へ電話等により、運転者氏名等の照会を行なつて、反則者の特定を行なうこと』

  『(6) 上記(5)の場合において、反則者が外交特権を有する者であるときの告知は、その者の居所または大使館等使節団の公館あて告知書を普通郵便により送付して行なうこと』

 と明記されている。

 実際に取り締まりも行われていて、警察庁によると、昨年(2019年)一年間の日本駐在の各国外交官が使う車両の駐車違反は、約2600件あったと報告している。しかし、このうちの約75%は外交特権を背景に違反金を納めていないことが、2020年11月19日の参院外交防衛委員会で明らかになった。

 日本国民であれば、反則金や放置違反金を納めないと、裁判にかけられたり、財産を差し押さえられたりするわけだが、外交官の場合、外交特権があるので裁判や差し押さえが免除される。放置違反金の時効は5年間なので、その間、督促を無視していれば、実質的に踏み倒しということに……。

 先月、国会でこの問題を取り上げた白真勲氏(立憲民主党)は「大問題だ」として悪質な国の公表や、ナンバー・プレートの返還を求めるよう訴え、茂木敏充外相は「誠に遺憾だ。交通ルールの尊重が徹底されるよう、しっかり対応したい」と返答しているが……。ちなみに過去の資料では、国別踏み倒しのトップはロシアで約25%。二位が中国の約20%だった。

 各国の外交官には、本国を代表していることを自覚し、高い倫理観をもって日本での仕事にあたってもらいたいものだ。

※写真はすべてイメージです。

2020年12月16日 18時0分 WEB CARTOP
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