トヨタ自動車グループの314労働組合でつくる全トヨタ労働組合連合会(組合員数約35万7千人)は18日、2021年春闘の要求方針案を固めた。基本給を引き上げるベースアップ(ベア)について、要求の目安額の提示をやめる。ベアを要求をしない組合が出ることも容認する。

 新型コロナ下での今回の春闘は、厳しい労使交渉が避けられない。全トヨタ労連の「ベアゼロ」容認が、ほかの産別の要求方針に影響する可能性もある。

 方針案では、定期昇給にベアなどを加えた賃上げ要求が基本。前回まで「月3千円以上」などと要求水準の目安を提示してきたが、今回からとりやめる。統一的なベアの要求水準をなくすことで、加盟組合がそれぞれ「目指すべき賃金」を設定し、その実現に必要な額を主体的に要求するように促す。

 ただ、新型コロナで業績が厳しい企業もあり、ベアゼロの組合も出てくる可能性がある。そうした組合について「課題解決・働き方の改善への取り組みについて労使で共有し、来春以降につなげる」と容認する考えも示した。ベアの要求水準については要求方針は、来年1月15日に開かれる中央委員会で正式に決める。(千葉卓朗、三浦惇平)

朝日新聞 2020/12/18 20:31
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