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医療機関でのクラスターが相次ぐ旭川で、旭川医科大学の学長が、当初、患者の受け入れを拒否していた問題。
一体何が起きたのか独自取材で検証します。

旭川医科大学病院、集中治療室。医師や看護師らが日夜、新型コロナの重症患者の治療にあたっています。
患者の受け入れをめぐり、ある発言に翻弄されました。

「コロナを完全になくすためには、あの病院(吉田病院)が完全に無くなるしかないんだということで」(旭川医大・吉田晃敏学長)

HBCが独自に入手した吉田晃敏(よしだ・あきとし)学長の発言です。
先月6日に発生した旭川の吉田病院のクラスター。旭川の5つの基幹病院は、それぞれ患者の状態に応じて、
受け入れる病院を決めていて、旭川医科大学病院は重症患者を受け入れる役割です。
 
吉田病院の患者は、主に中等症でしたが、8日に病院長らが集まり、5つの病院で受け入れることが決まりました。

「吉田病院は、もともと感染症に十分対応できる病院じゃない。できるだけ早く患者を出してあげなきゃいけない。
ちょっとずつ残しておけばその人から感染して、次から次へとうつるわけです」(旭川医大病院・古川博之院長インタビュー)

しかし吉田学長は…

「それは大学の仕事ではない。職員を危険にさらしたくない」(旭川医大・吉田晃敏学長)

受け入れを拒否したのです。学長は病院長を任命する立場にあり、圧倒的な権限を持っています。
一方、患者を受け入れる準備をしていた医師や看護師らは悔しがっていたといいます。先月13日、病院長が学長に直談判すると…

「2回目もかなりしつこく、受け入れろと言いましたけど『それならやめろ』と言われたので、ショックでしたね」
(旭川医大病院・古川博之院長インタビュー)

この4日後に開かれた会議で、学長が発言します。

「あの病院の中で、軽症者の認知症、あるいは重症者の肺炎がある人。直らない、認知、肺炎ですから、
ここに、旭川市に吉田病院があるということ自体が、ぐちゅぐちゅぐちゅぐちゅとコロナをまき散らして…」
(旭川医大病院・古川博之院長インタビュー)

吉田病院の支援に入っている塚本氏は…

「本当にひどいですね。声で実際に聞くと。ひどいですよね。意味が分からない。吉田病院は後方支援病院として、
患者さんをずっと受け入れてきているのにひどいですね」(北海道医療大学・塚本容子教授)

吉田学長は「なくなるしかない」との発言について…

「吉田病院の閉鎖などを望むことを意味するものではありません」「病院内で治療した上で、患者の回復を待つのも
1つの方法ではないかとの考え方を述べたものです。しかしながら発言を聞いた方が不快に思われることは間違いなく、
不適切な発言であったと深く反省しています」

病院は、先月20日から患者の受け入れを始めました。クラスターが起きた時、医療機関はどう連携を図るか、
吉田学長の発言は大きな波紋を広げています。