https://www.sankei.com/smp/world/news/201219/wor2012190003-s1.html
スウェーデン政府がマスクを初めて推奨 新型コロナ対策の方針を転換

 【ロンドン=板東和正】スウェーデンのロベーン首相は18日、混雑時の公共交通機関でのマスク着用を推奨すると発表した。新型コロナウイルス対策で同国がマスク着用を推奨するのは初めて。公共施設の閉鎖など新たな規制強化策も実施する。国内で感染者数や死者数が急増する現状を受け、厳しい規制を敷く方針に転換した形だ。

 同国はウイルスとの長期戦で国民を疲弊させないとの考えから、外出制限や店舗の営業停止など、厳しい措置を見送ってきた。マスクについても、市民が着用に慣れていないことを政府側が考慮し、義務化や推奨を実施しない方針を続けてきた。
しかし、スウェーデン政府が18日に発表した新型コロナ対策では、規制を大幅に強化。マスク推奨のほか、来年1月24日まで図書館や屋内プール、博物館などの公共施設に閉鎖を要請し、高校でのオンライン授業の実施を促した。

 さらに、今月24日以降は飲食店で1テーブルに同席できる最大人数を8人から4人に制限するとした。

 スウェーデンの感染状況をめぐっては、11月以降、感染者数が増加。10月の新規感染者は1日当たり4千人前後だったが、12月に入ってからは1万人を超える日が増えている。

米ジョンズ・ホプキンズ大の集計によると、人口約1千万人のスウェーデンで18日時点の累計感染者数は約36万7千人。死者数は7900人を超えている。 

 人口10万人当たりの直近2週間の新規感染者数は、フランスやイタリアなど欧州主要国を大きく上回り、北欧の隣国ノルウェーやフィンランドの約7倍に達する。

 こうした厳しい現状を踏まえ、スウェーデンのカール16世グスタフ国王が年末恒例の地元テレビとの会見で、厳しい規制を避けてきた同国の対策について「私たちは失敗したと思う」と批判していた。

2020.12.19 09:15 産経新聞