テレ朝ニュース

12月14日。米大統領選で「選挙人」の投票が行われ、バイデン氏の勝利が事実上確定した。だがトランプ大統領はいまだ敗北を認めようとせず、多くの支持者も「選挙に不正があった」と訴え続けている。7400万もの票がトランプ氏に集まり、この4年間で深まった米国の分断は回復するどころか、さらに深刻化しそうな状況に見える。

「パラレルワールド(並行世界)にいるみたいだ…」
2カ月間にわたり現地で大統領選取材を行ったジャーナリストの村山祐介氏は、米国の分断についてそう表現した。トランプ氏とバイデン氏、双方の支持者にインタビューを重ね、「パラレル化」の背景を懸命に探ってきた。
後編では、トランプ支持者の本音とアメリカ社会の今後について村山氏に聞いた。

■ 「愛国者であることを誇っていいんだ」

 10月初旬に取材を始め、全米各地で約200人にインタビューを行った村山祐介氏。中でも、トランプ支持者のパレードに参加していた30歳くらいの女性の言葉が印象に残っているという。

「自分が愛国者であるって口に出すことが昔は恥ずかしかったというんですよね。ためらいがあったと。だけどほんとは愛国者だと言っていいんだ、むしろ愛国者であることを誇りに思っていいんだって、メイク・アメリカ・グレイト・アゲイン(米国を再び偉大な国に)とはそういう時代なんです、と」

「かつては愛国者と言えなかった」とはどういうことなのか。村山氏は前回大統領選でのトランプ氏の言葉を引き合いにして解説する。

「例えばトランプ氏が『メリークリスマスって言いたいよなー?』みたいなことを集会の中で言うとワーッと盛り上がる訳ですよ。『ハッピーホリデーと言いましょう』というポリティカルコレクトネス(政治的公正さ)の名のもとに、どんどんキリスト教的なものが生活とか社会から追い出されていく感覚を彼らは持っています」

 宗教的な多様性を重視し、キリストの誕生を祝福する言葉、「メリークリスマス」を言い換えようという社会… 伝統的な家族観や自由を大切にする白人保守層は言いたいことも言えず、どんどん肩身が狭くなっていた。

「今回改めてトランプ支持者に話を聞くと、やっぱりオバマの登場というのが彼らには衝撃で、彼らが潜在意識として持っていた不安感、白人中心だったアメリカが、多様性の名のもとにどんどん変わっていくという危機感がオバマ政権の誕生で目に見えてしまった」

 村山氏がワシントン特派員だったオバマ政権時代には見えていなかった、白人保守層の本音。4年前、そこにトランプ氏がアウトサイダーとして乗り込んできて、ワシントン政治を変えると公約した。その物語が、トランプ支持者の中ではいまだ続いてるのだと村山氏は指摘する。

「『私が実行してきたことをあと4年で完全に実行する、アメリカをグレートにしてきた私がさらにグレートにし続けるんだ』というのが今回の彼のメッセージで、それに対して実際に『あと4年』を託した人たちが、7400万人というレベルになるほどのボリューム感を持って存在していると」

 だが、トランプ支持者が本音をさらけ出せるようになった社会は、バイデン支持者、特に黒人にとっては不安をかき立てられる社会でもあるという。

「本人たちにそういうつもりはなかったとしても、黒人の目線からすると『白人至上主義』的な考え方なんじゃないのかと。キリスト教・白人・保守という自画像を堂々と言えるようになった人たちが一方でいて、そういう人たちに対し不安を覚える人たちがいるという、そこでひとつのパラレルワールドというか分断ができています」
続きはソースにて
https://news.tv-asahi.co.jp/news_international/articles/amp/000201849.html?a=news&;b=ni&__twitter_impression=true