山形大の有機エレクトロニクス研究センター(米沢市)でパワーハラスメントが発生していたと同大職員組合が11月に発表した問題を巡り、学内に設置した調査委員会の聞き取り調査が進まず頓挫し、大学側が外部の専門家ら第三者による調査委に設置し直すことが19日、関係者への取材で分かった。聞き取りが2カ月以上行われなかった実態も明らかになった。

 同大は8月に4人から被害の申し立てを受け、9月に特別対策委員会を学内に設置した。組合によると、対策委の下に設けた調査委が11月2日に聞き取りを行う予定だったが、調査方法を巡り双方が合意できず延期。その後、申立者に日程などの連絡はないという。
 関係者によると、組合が申立者の精神面への配慮と大学側への不信感から申立者全員が臨む「一斉聞き取り」を求めたのに対し、過去事例と同様に個別に聞き取る方針だった調査委の委員が同意せず、滞った。
 同大は、新たな調査委を設置する方針を決定。より客観性に配慮する目的で、外部から委員の推薦を受けるなどしたため、設置に時間を要している。近く正式に発足する見通し。
 新たな調査委は今後、個別の聞き取りや、聞き取りを受けたことを口外しないとする誓約書への署名など、従来通りの調査手法の適否も検討するとみられる。
 組合によると、パワハラを受け被害を申し立てたのは特任教授と研究員の計4人。昨年5月ごろから今年8月まで、センターの60代男性教授ら4人から雇用契約と異なる業務をさせられるなどしたという。
 学内の規程で調査が2カ月を超える場合、特別対策委は大学側に理由などを記した報告書の提出が必要となる。今月2日の定例記者会見で玉手英利学長は「公正に予断なく進めるため、今は経緯について申し上げるのは適切ではない」と述べていた。

河北新報 2020年12月21日 11:40 / 12:02 update
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