※産経新聞

【ロンドン=板東和正】世界保健機関(WHO、本部・ジュネーブ)は20日、英BBC放送に対し、英国で感染が急増している新型コロナウイルスの変異種について、オランダ、デンマーク、オーストラリアで確認されたとの見方を示した。イタリア、南アフリカの各政府も変異種の発生を発表。変異種は世界で拡大している。

 BBCによると、WHOの欧州担当者が、英国で確認されたものと同じ変異体の感染事例がデンマークで9件、オランダで1件、オーストラリアで1件報告されたと述べた。

 変異種をめぐっては、イタリア政府が20日、英国からの帰国者に変異種ウイルスが確認され、ただちに隔離したと発表。南アフリカ政府も18日、変異種が確認されたと発表した。

 変異種をめぐっては、北欧デンマークでも11月、感染者が確認され、毛皮採取用の家畜ミンクから感染したとみられている。

 英国では20日、新型コロナウイルスの変異種の感染拡大を受け、首都ロンドンとその周辺地域で外出制限措置が導入された。

 英メディアよると、英国では10〜11月ごろに変異種による感染が確認された。12月13日の時点でロンドンやその周辺地域を中心に変異種の感染事例が1108件あった。ロンドンの感染者のうち変異種が占める割合は28%(11月18日)から62%(12月9日)に増加した。

 ジョンソン首相は19日、変異種について「(従来の新型コロナに比べ)最大70%感染力が高いかもしれない」と述べた。変異種がより重い症状をもたらす証拠はないとされているが、英ブリストル大のデビッドソン准教授は英メディアに、変異を繰り返したウイルスが「ワクチンの有効性を低下させる恐れもある」との見方を示している。

https://www.sankei.com/world/news/201221/wor2012210005-n1.html