※産経新聞

英国で感染が急増し、感染力が強いとされる新型コロナウイルスの変異種について、加藤勝信官房長官は21日の記者会見で「日本国内で確認されていない」と明らかにした。欧州からの入国制限が続く国内に即座に流入する可能性は低いが、国内で広がるウイルスが同様の変異を起こす恐れもあり、警戒が求められる。

 ウイルスの変異は、ヒトや動物などの宿主に感染し、増殖を繰り返す過程で、遺伝子のコピーミスによって起きる。毎年のように流行するインフルエンザウイルスも少しずつ変異することが知られている。

 国内での新型コロナの感染状況は、国立感染症研究所が感染者のウイルスのゲノム(全遺伝情報)を解析することで判明。1〜2月には中国湖北省武漢市から初期の「武漢型」が直接流入。3月以降は中国から欧州に広がって変異した「欧州型」が流入し、第1波の流行につながった。

 6月以降の第2波では、欧州型の変異種が東京・新宿歌舞伎町を感染源とし、変異を重ねながら全国に蔓延(まんえん)。感染研によると、これとは別の欧州型の変異種も確認され、第3波でも2つの系統から感染拡大を起こしているとみられる。

 東大医科学研究所の動物実験では武漢型から欧州型への変異により、感染力が強まったことが確認されている。一方、国内での変異では、感染力が強くなったとか、重症化・致死率が高まる病原性の強毒化といった報告はないという。

 長崎大熱帯医学研究所の森田公一所長(ウイルス学)は「新型コロナは元来、感染が広がりやすい性質がある。感染拡大が続けば変異が繰り返され、感染力や病原性が変化する可能性が出てくる。英国の変異種についても病原性の変化やワクチンの有効性を注視する必要がある」と話す。

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