新型コロナウイルスによる感染者、死者共に世界最多の米国。党派対立など社会の分断を背景に、
マスク着用の是非をはじめさまざまな問題が「政治化」した。

有効な対策を打ち出せないまま感染拡大を繰り返し、12月の死者は6万3000人を超え、月別で最も多かった。

連邦政府の対応が後手に回る中、州など自治体の対策にはばらつきが出た。
各州は当初、マスクや人工呼吸器などを互いに競って購入し、値上げを招いた。

経済活動の再開も、共和党知事の州で積極的に進められたのに対し、民主党知事の州では厳しい規制が続き、党派色の差が鮮明に。
大統領選はコロナ禍の経済低迷などで潮目が変わり、トランプ大統領は敗北に追い込まれた。

市民の生活も一変した。テレワークが急速に広がる一方、飲食業などは苦境に立たされ、4月の失業率は第2次大戦後最悪の14.7%を記録。

社会不安から都市部で治安が悪化した。

経済活動の規制は長引き、失業者は家賃の支払いや食料確保に苦労するようになっている。
5月下旬以降、全米に広がった人種差別抗議デモはコロナ禍の社会不安も背景に長期化。一時はデモに便乗した略奪も相次いだ。

春に米国の感染の中心となったニューヨーク市も規制が続き、例年なら観光客であふれる年末も街角には人はまばらだ。
市内に住むアジア系の女性(50)は「以前は美術館に行ったり、友人に会ったりするのが好きだったが、
80歳の母親と毎日会うので、できなくなった」と肩を落とした。
https://www.jiji.com/jc/article?k=2020123100288&;g=int