時短要請「飲食店なら応じると考えているのか」店主ら悲鳴と戸惑い



新型コロナウイルスの感染拡大を受け、政府は緊急事態宣言の発令の検討を始めた。菅義偉首相は4日の記者会見で
「飲食でのリスクを抑えることが重要」と強調しており、飲食店の営業時間短縮が対策の柱になる見込みだ。

しかし、コロナ禍で多くの飲食店はすでに大きな打撃を受けており、店主からは悲鳴と戸惑いの声が上がる。

新宿区歌舞伎町でイタリアンバルを営む30代男性は「開業10年目で最大の試練。先行きがあまりに見通せない」と嘆いた。
これまでアルバイトを雇うのをやめたり、協力金を受け取ったりすることで赤字を免れてきた。

男性は飲食店ばかりが時短要請を求められている現状に不満を訴える。
「飲食店なら応じると行政は考えているかもしれない。しかし、このままでは自粛要請に協力したくてもできなくなる店が増えていく」と強調した。

歌舞伎町ではすでにそうした店は少なくない。

近くにある焼き鳥店は「午後10時まで」という時短要請に応じておらず、昨年4月に緊急事態宣言が出された際も開店していたという。
この店で働く女性は「家賃の支払いや従業員の生活もあり、店は閉められない。国や都が売り上げを全部補ってくれるなら休めるけど」と話した。

2020年2月にクルーズ船「ダイヤモンド・プリンセス号」が停泊した横浜港に近い横浜中華街(横浜市中区)。
昨年末は忘年会が相次いで中止になるなど、苦しい状況が続く。

広東料理店「桂宮(けいきゅう)」の店長、梁偉結(りょういげつ)さん(35)は「政府が言うなら従わざるを得ない。
『マスク会食』だって、食べるときはマスクを外す。飲食店が感染の原因と言われるのも仕方ない」と諦め顔だ。

しかし、時短要請に応じた店に支払われる1日4万円の協力金については不満を漏らす。「全く足りない。厳しいよ」

広東料理店「獅門酒楼(しもんしゅろう)」のマネジャーは「客足が遠のいてしまう」と宣言の再発令を懸念する。
12月の売り上げは例年の半分程度に過ぎなかった。「医療体制を逼迫(ひっぱく)させないためには仕方ないが、厳しいのは確か」と話す。
https://mainichi.jp/articles/20210104/k00/00m/040/249000c