中谷:まさにポリティカル・コレクトネスの話になってくるが、人権を侵害されているような人たちがいて、直ちに救わなければならない状態なのであれば、そこは制度的なアプローチをしていくことになると思う。一方で、あるべき理想の姿はこうだが、現在は時代背景もあってこういう状態になっている、というものについては、緩やかにバランスさせることが必要だ。

「お母さん食堂」について言えば、“おふくろの味”というものが一般的に受け止めやすいものになっているのが今の日本社会ということだと思う。だからこそ、企業はマーケティング戦略として発信した。しかし時代が変わり、ジェンダー平等も進んで行く。私も家ではかなり料理を作っているので、娘たちからしたら「お父さん食堂」とか、“おやじの味”の方が分かりやすいのかもしれない。

倉持:「リベラル」というパッケージがあり、そこに記号がいっぱい入っているイメージだ。だからそこから外れると、「ジェンダーの問題については怒らないといけない」とか、「リベラルのくせにそんなこと言うなんて」ということになる。本当のリベラルならば、パッケージなんて作ってはいけない。むしろパッケージの中身を新陳代謝させないといけないのに、全ての条件を満たさない人はリベラルじゃないと。それはリベラルというよりも左派だ。自分たちが考えていることが最も正しく、そうじゃない考え方を持った人たちは敵だから攻撃する。そういう性質があると思う。それが政治との相乗効果で、どんどん先鋭化している。

ひろゆき:昔から「言葉狩り」をする人はいたと思うが、“こいつめんどくせえな”で終わっていたのが、最近ではポリコレやコンプラ違反といった正当性の武器を与えてしまった。そう言われると、とにかく直さないといけないと説得されちゃう頭の悪い人も増えちゃったので、結果として面倒くさい人の意見が通っちゃうというのが増えちゃったと思う。
https://news.yahoo.co.jp/articles/264a8a8d09f8487ffdcb3a397f0c15b7a4d4abc7?page=3