新型コロナウイルス感染症の対策強化に向け、政府・与党は、軽症・無症状者の宿泊・自宅療養を義務化する検討に入った。感染が確認された人に自治体が入院を命じても応じなかった場合、罰則を科すことも視野に入れる。今月召集の通常国会に提出する感染症法改正案に盛り込む構えで、近く政府と与野党からなる協議会に考え方を示す。

 感染症法は、危険度の高い感染症のまん延防止のため、都道府県知事は入院勧告や従わない場合の強制的な入院(措置入院)ができると規定し、新型コロナもこの対象に含まれる。一方、病床の逼迫(ひっぱく)を受け、厚生労働省は高齢者や基礎疾患がある人を除き、軽症・無症状者は入院ではなく自治体が用意した宿泊施設か自宅での療養を求めている。ただ、入院先から抜け出しても罰則はなく、宿泊・自宅療養の要請に法律上の根拠もないため、無断で療養場所から出歩く事例もあるとされる。

 感染経路の把握のために保健所が行う「積極的疫学調査」でも、行動歴などの聞き取りを拒否するケースもあり、全国知事会は国に、実効性を高める法改正を繰り返し要請。与党からも「より強い措置が必要だ」(幹部)との声が出ていた。

 こうした経緯を受け、厚労省は感染症法を改正し、入院に応じない場合の罰則を規定したい考えだ。軽症者らには宿泊・自宅療養を義務化し、勧告などを可能とすることで実効性を担保する。さらに、保健所の調査を拒否した場合の罰則も必要との意見が出ている。

 ただ、野党には「罰則ありきの姿勢で感染抑止効果を高めようというのは(方向性として)誤りで、受け入れがたい」(立憲民主党幹部)との声もある。政府・与党は感染症法改正案について、新型インフルエンザ等対策特別措置法改正案とあわせて月内に国会提出する方向だ。【横田愛、阿部亮介】

毎日新聞

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