※NHK

アメリカでは、大統領選挙の結果を確定するための連邦議会上下両院の合同会議が開かれています。選挙で不正があったとするトランプ大統領の主張に同調する共和党議員の一部が異議を申し立て、審議が行われていますが、異議が認められる可能性は低いと見られていて、バイデン次期大統領の当選が最終的に確定する見通しです。

アメリカでは、6日、連邦議会上下両院の合同会議が開かれ、去年11月の大統領選挙を受けて各州で選出された538人の選挙人が12月行った投票結果を正式に集計しています。

通常、この手続きは形式的で短時間で終わりますが、今回は選挙で不正があったとするトランプ大統領の主張に同調する共和党議員の一部が西部アリゾナ州の結果に異議を申し立てたほか、ほかの州の結果についても異議を申し立てる構えを見せていて、異例の審議で長時間に及ぶ可能性もあります。

ただ、異議が認められるには上下両院の賛同を得る必要があることから、認められる可能性は低いと見られていて、バイデン次期大統領の当選が最終的に確定する見通しになっています。

一方、首都ワシントンでは選挙での不正を主張し、選挙結果に不満を持つトランプ大統領の支持者が大規模な抗議デモを行っていて、トランプ大統領も姿を見せ、「われわれは決して諦めないし、負けを認めることもない。選挙結果を盗むのはやめろ」と述べ、改めて選挙に不正があったという主張を繰り広げました。

市内では、デモをめぐる衝突や破壊行為に備え、建物のガラスが木の板で覆われ、州兵も出動して警戒にあたっています。

トランプ大統領の支持者らによる大規模な抗議デモ
一方で、首都ワシントンでは不正が行われたと主張して選挙結果に不満を持つトランプ大統領の支持者らによる大規模な抗議デモが行われています。

前日から続くデモには全米から数万人が参加していて、このうち、ホワイトハウス近くの広場では、選挙での敗北を認めないトランプ大統領が集まった支持者を前に演説を行いました。

この中でトランプ大統領は「われわれは決して諦めないし、負けを認めることもない。選挙結果を盗むのはやめろ」と述べて選挙結果を確定させる手続きの当日を迎えても敗北を認めない姿勢を強調しました。

そのうえでバイデン次期大統領の当選を正式に宣言する役割のペンス副大統領について、「正しいことをしてくれると願っている。そうでなければとても失望する」と述べ、なんらかの介入をすべきだとの考えを示しました。

会場やその付近には辺りを埋めつくすほど多くの支持者が集まり「トランプ大統領のために闘う」と声をあげていました。

デモに参加した女性は、「選挙での不正をきちんと調べるべきです。そうでなければ、私が投じた票がもはや意味をもたないようにすら感じてしまいます」と話していました。

別の男性は「残念ながら選挙結果が覆ることはないと思いますが、大統領への支持を示すためにやってきました」と話していました。

支持者たちはこのあと、選挙結果を確定させるための合同会議が開かれている連邦議会議事堂に向かって行進していきました。
大規模な抗議デモの主催者は
トランプ大統領を支持する大規模な抗議デモの主催者の1人、エド・マーティン氏はNHKの取材に対し、「トランプ大統領が再選できなければ失望はするが、アメリカ第一主義を大切にする私たちの運動が終わることはない。むしろ私たちの絆は強まると思う」と述べ、バイデン次期大統領が就任してもトランプ大統領が主張してきたアメリカ第一主義を支持することに変わりはないと訴えました。
議会の建物に侵入
アメリカの連邦議会で大統領選挙の結果を確定するための審議が行われるなか、抗議デモを行っていた大勢のトランプ大統領の支持者たちが議会議事堂周辺に集まり、一部が建物の周囲に設置された鉄製のフェンスを乗り越え、警察官などの制止を振り切って議会の建物に侵入しました。

押し寄せた抗議デモの参加者たちは議会のバルコニーを占拠し、大きな声を上げたり、建物の中をアメリカの国旗やトランプ大統領を支持する旗を掲げて歩き回ったりしています。

これを受けて議場で行われていた審議は安全を確保するために中断される異例の事態となりました。

連邦議会議事堂の周辺には数万人に上ると見られるデモ隊が押し寄せていて、首都ワシントンのバウザー市長は6日午後6時からの夜間外出禁止令を出し、現地では緊張が高まっています。

https://www3.nhk.or.jp/news/html/20210107/k10012800551000.html
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