【北海道】札幌市で過ごした中学時代から大学時代にかけ、男性教諭から性暴力を受けていたとして、現在東京在住の女性がこの教諭の懲戒処分などを札幌市教育委員会に申し入れた。教諭らに損害賠償請求の訴えを起こして敗訴したが、性的行為の事実は認定された。これまで市教委は教諭に処分をしなかったが、裁判での事実認定を受けて対応を協議するという。

 6日にオンラインで会見したのは石田郁子さん(43)。札幌で市立中学校の卒業直前だった1993年から、大学2年までの15〜19歳の間、中学で教えを受けた男性教諭からキスをされたり体を触られたりしたという。当時は恋愛だと思い込まされたが、37歳のときに性暴力を受けたと認識した。その後、心的外傷後ストレス障害(PTSD)を発症して苦しんだという。

 石田さんは2019年、札幌市と教諭を相手取り損害賠償請求の訴えを東京地裁に起こした。しかし賠償請求権が認められる期間が過ぎているとして棄却された。石田さんは東京高裁に控訴し、昨年12月に請求は棄却されたが、性的行為の事実は認定された。

 これを受け石田さんは今月5日、教諭の懲戒処分と処分までの退職届不受理を札幌市教委に申し入れた。教諭は現在も教職にあるといい、石田さんは「加害教諭が今も学校現場におり、生徒は何も知らされていない。このまま黙っているのは耐えられないと考えた。きちんと懲戒処分にしてほしい」と語った。市教委に対しては申し入れとともに、この教諭を学校に置き続ける理由や、学校現場での体罰や性暴力などの防止策や実態調査についてただす質問も添えた。

 札幌市教委教職員課によると、2016年に教諭への聞き取り調査を複数回行ったが、わいせつ行為の事実が認定できないと判断し、処分しなかった。同課は「高裁で事実が認定されたことは重く受け止め、対応を協議している。申し入れには真摯(しんし)に対応していきたい」としている。(芳垣文子)

2021年1月7日 9時02分
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