世界を代表する民主主義大国の政権移行は、流血を伴う前代未聞の事件に発展した。

バイデン米次期大統領の当選を認める憲法上の手続きを進めていた米首都ワシントンの連邦議会は6日、
暴徒化したトランプ大統領の支持者に占拠され、支持者の女性が死亡するという惨事に。

トランプ氏が展開する陰謀論にあおられて起きた混乱に世界中が衝撃を受けた。

6日午前からホワイトハウス近くの一帯は、星条旗や「TRUMP2020」の旗を掲げたトランプ氏の支持者で埋め尽くされた。
「民主主義を守るために来た。各地で大統領選の投票は不正に操作された、という有権者による宣誓供述書が提出されているでしょう」。

南部フロリダ州から来たコリーン・トレスさん(53)はこう訴えた。

支持者の多くは、トランプ氏が展開する陰謀論を今も信じる。議会で当選手続きが始まる時間を見計らってトランプ氏が集会に姿を見せると
「USA! USA!」など大歓声が湧き上がった。トランプ氏はこの日も約1時間、陰謀論を展開し、
「われわれはあきらめないし、負けを認めない。議事堂で議員を(選挙結果を認めないよう)応援しよう」と数千人に呼び掛けた。

ニューヨーク州から来た販売業の男性(59)は「盗まれた選挙を取り返す。上下両院議員に正しいことをさせる」と演説が終わらないうちに議事堂に向かった。

建物が近づくにつれて人々の表情は次第に険しくなる。巡回するパトカーに罵声を浴びせ、
20日の新大統領就任式に向けた工事のため立ち入り禁止となっていた区域もたちまち人で埋まり、議事堂は四方をすっかり囲まれた。

議会内の混乱は、取材していた米メディアの記者らが会員制交流サイト(SNS)などに投稿。

旗を掲げたトランプ支持者が警官をののしる姿や本会議場で破られたガラスに向かって警備担当者が銃を構える姿、
撃たれたとみられる女性が廊下で横たわっている姿など、生々しい映像や写真が瞬時に広まった。
https://www.tokyo-np.co.jp/article/78509