【ワシントン=永沢毅】米国の第46代大統領に民主党のジョー・バイデン氏(78)が20日、就任した。就任演説では「きょうは米国にとって歴史的な民主主義の日だ。民主主義は勝利した」と力説。「米国民、米国を団結させる。お互いに耳を傾けよう」と述べ、国内に広がる分断の修復を訴えた。新型コロナウイルスについては「米国は試練を迎えている。恐ろしいウイルスを克服できる」と強調した。

就任初日に地球温暖化対策の国際枠組み「パリ協定」への復帰を含む約20項目にわたる大統領令に署名し、トランプ前政権からの大幅な政策転換を打ち出す。

バイデン氏は連邦議会議事堂前で開かれた就任式で、米東部時間20日正午前(日本時間21日未明)に宣誓して就任した。演説では「全ての米国民の大統領になる」と改めて約束した。米国で高まった過激主義や白人至上主義に触れて「立ち向かわなくてはならない。われわれは打ち勝つ」と自信を示した。

新型コロナで改めて鮮明になった人種差別に関して「今こそすべての人のための正義を実現すべきだ」と呼びかけ、是正に取り組む決意を重ねて示した。

外交関係について「同盟関係を再構築し、再び世界に関与していく」と述べ、トランプ前政権の「米国第一」から国際協調路線に立ち戻る方針を示した。「安全保障における平和を進展させるため、強力で信頼できるパートナーとなる」と語り、多国間の枠組みを重視すると強調した。

バイデン氏の任期は2025年1月までの4年間。78歳での大統領就任は史上最高齢となる。副大統領には黒人女性のカマラ・ハリス前上院議員(56)が就任した。副大統領に女性が就くのは米史上初で、黒人でも初めてだ。民主党は4年ぶりの政権奪還で、連邦議会上院の多数派もおさえた。

日本経済新聞 2021年1月21日 1:49
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