兵庫県・淡路島で2015年、住民の男女5人を刺殺したとして、殺人などの罪に問われた平野達彦被告(46)について、最高裁第3小法廷(林景一裁判長)は22日までに、被告側の上告を棄却する決定をした。20日付。事件時に心神耗弱状態だったと認定し、一審裁判員裁判の死刑判決を破棄して無期懲役とした二審判決が確定する。

一審神戸地裁は17年3月、被告は薬剤性精神病だったとした上で、被害者らは自身を攻撃する工作員との妄想を抱き、報復として殺害を決意したと指摘。ただ、殺人を犯罪と認識するなど「殺害の実行に関し病気の影響はほとんど見られない」と完全責任能力を認め、死刑を言い渡した。

二審大阪高裁は新たに精神鑑定を実施。20年1月の判決で、被告は妄想性障害だったと判断した上で、「症状は重篤化しており、妄想の影響で犯行に至った」と心神耗弱状態を認定し、無期懲役とした。

検察側は上告を断念。弁護側が心神喪失で無罪として上告していた。裁判員裁判の死刑判決が高裁で無期懲役となり、最高裁で確定するのは7件目。

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