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新型コロナウイルスは、東京五輪で各国の選手や観客と交流できることを待ち望んでいたボランティアの心にも影を落とす。
開幕が半年先に迫るものの機運は高まらず、参加予定者からは「気持ちが続かない」「あんなに楽しみだったのに」とため息が漏れる。
 
大会組織委員会や自治体が募集したボランティアの研修は、感染拡大で昨年2月ごろから中止が相次いだ。
夏以降オンラインで一部再開されたが、一向に動きがない自治体も。職種別や会場での本格的な研修は「春以降」としか決まっていない。
 
少しでも機運を保とうと日本財団ボランティアサポートセンターが開いたオンライン交流会には、延べ約800人が参加。
昨年12月の会では「知り合いも増えず気持ちの維持が難しい」「今はできることがない」といった悩みが聞かれた。
 
2度目の緊急事態宣言発令など、今年に入って状況はさらに悪化。会場スタッフなどを予定する会社員川西利治さん(55)=川崎市=は
「世論も否定的で、周囲に『参加する』と言えなくなった」とこぼす。研修機会などへの不安は山積し、
「あと半年でこの状況とは。もっと良くなると期待していたが」と暗い口調で話した。
 
埼玉県が昨年末に開いた救命講習に参加し、「久々の動きでうれしい」と笑顔を見せていた同県朝霞市の水野喜美子さん(55)も、
状況を憂慮する。「こんな機会は二度とないが、もし開催されても心から楽しめるだろうか」とつぶやいた。
 
自治体側も人手の確保を心配する。静岡県は昨年8月、参加予定者840人に意向調査を実施。
辞退者や不明の人が多く、250人を追加募集した。埼玉県の調査では8割が継続して「参加したい」としたが、回答率は半分程度。
担当者は「連絡がない残りがどう転ぶか」と懸念する。
 
未実施の千葉県の担当者は「感染状況もあり、いつ調べるべきか」と悩む。
東京都の担当者は「まず感染対策を示さないとボランティアも判断材料がない。早く組織委がモデルを示してほしい」と要望した。