昨年末から欧米各国で接種が始まっている新型コロナウイルス(以下新型コロナ)のワクチン。日本でもついに接種が始まりそうだ。
18日、河野太郎が「ワクチン担当相」に指名された。情報が錯綜するなか、接種に向けての準備が進む一方、国内にはワクチンに対する抵抗感も根強い。

米国国立研究機関の博士研究員で、病理学・ウイルス学・免疫学を専門に研究をしている医師の峰宗太郎氏に話を聞いた。


◆新型コロナのワクチンは「効果は9割超えの超優等生」

「開発されたばかりの新型コロナのワクチン、この「能力」は非常に高いです。
昨年11月末に臨床試験の最終報告が出てくるまでは、そこまで期待していなかったのですが、
ファイザー社とモデルナ社のワクチンの「発症抑制率」(ウイルスを浴びても発症しなくなるリスクの比率)が、94〜95%。
12月にはアメリカFDAに使用が承認され、1月20日現在、すでに世界で1200万人以上、イスラエルでは全国民の28%以上が接種しています。

これらのワクチンは2回打たないと試験通りの効果はないのですが、イスラエルでは1回目の接種をした人からすでに30%以上、
感染率が下がり始めていると報告されています。これは、ワクチンとしてかなり『優等生』。すばらしい効果といえます。

今、各国で接種が進んでいて、G7(主要7カ国)で接種が始まっていないのは日本だけです。
私自身はアメリカのメリーランド州に住んでいて、1月中には接種できる予定です」

とはいえ日本は、フランスと並んで「反ワクチン」の国民感情が強い。また、副反応など安全性を懸念する声も聞かれる。

「YouTubeで公開されている臨床試験の治験の最終報告やFDA承認の審査の様子を見ても、
ファイザーもモデルナも、とてもよくできたワクチンだと思います。現状、これまでのワクチンと比べても『安全性が高い』と言い切っていい。

現在世界で1200万人以上が打っていて、アナフィラキシーというアレルギー反応は重いことがありますが、
それ以外は軽度の副反応で、命に関わったり後遺症が残るようなものではないのです」

このワクチンを「2回接種」をすれば、感染を防げるのかという疑問もある。

「接種したワクチンの効果がどれくらい続くかはまだわかりませんが、臨床試験の追跡結果を見ている限りでは、
接種から3〜4か月経っても効果の指標である抗体価がまったく下がっていません。

通常、ワクチンの効果は急激には下がらず、ゆるやかに減っていくことが多いので、少なくとも半年、1年は効果が消えることはなさそうです。
かなりコストパフォーマンスも良いですし、これは絶対に打つべきだなと思っています」


峰宗太郎:医師(病理専門医)、薬剤師、医学博士。京都大学薬学部、名古屋大学医学部、東京大学大学院医学系研究科卒。

国立国際医療研究センター病院、国立感染症研究所等を経て、米国国立研究機関博士研究員。
専門は病理学・ウイルス学・免疫学。ワクチンの情報、医療リテラシー問題にも明るい。
https://news.yahoo.co.jp/articles/b95717c4e1b5d05450636240b430e6646bb63f91