大阪大学と中外製薬(東京都)が開発したリウマチ薬「アクテムラ」(一般名トシリズマブ)が、新型コロナウイルスの治療薬候補として再び注目を集めている。大手製薬会社が患者への効果は確認できないとしていたが、英国政府が重症患者の治療に有効だと発表したからだ。

 英国政府は7日、アクテムラが新型コロナの重症患者の治療に有効だとして、無料の国営医療「国民保健サービス」(NHS)の現場で、患者へ使うことを薦めると発表した。

 発表によると、英政府が出資する臨床試験(治験)の結果、アクテムラや、同じ仕組みの薬「ケブザラ」(一般名サリルマブ)を集中治療室(ICU)の患者に使った場合、通常の治療だけに比べて死亡リスクを24%下げることができた。

 また、ICUでの治療期間を7〜10日間短縮でき、医療機関への負担を減らせる、としている。治験は英国を含む6カ国で行われ、ICU患者約800人が参加した。

 アクテムラはすでに英国内の病院で広く使われている。今回の治験の結果は、他の研究者によって研究結果を精査する査読は受けていないが、ハンコック保健相は「この治療によって数百人の命を救えるだろう」と期待している。

 アクテムラは、大阪大と中外製…(以下有料版で,残り653文字)

朝日新聞 2021年1月27日 8時00分
https://www.asahi.com/articles/ASP1V44FDP1MUHBI02J.html?iref=comtop_7_02