0001かわる ★
2021/01/29(金) 21:24:39.54ID:R24BUo2I9かつては珍重された犬種で、買うのに数百万元もしたチベタン・マスティフ。だが、中国ではもう流行りのペットではなくなってしまった。
その結果、何万匹もが捨てられてチベット高原をうろつき、そこで伝染病を広め、通りがかるものはなんでも攻撃している始末だ。
2014年、尹杭(イン・ハン)は、「ガングリ・ネイチョク(チベット語で「聖なる雪境」)研究・保護センター」を立ち上げた。高原に捨てられたマスティフとほかの動物たちの保護活動のためだ。
尹は以前、中国北西部の青海省でユキヒョウの保護活動に携わっていたが、ある動画を見てマスティフたちの窮状を知るようになったという。それは、1頭のユキヒョウがマスティフの一団に脅されている様子をとらえた映像だった。
「マスティフ数匹がヒョウを取り囲み、ヒョウが捕ったばかりのバーラルを奪おうとしていたんです」と尹は言う。バーラルは、山羊に似た哺乳類で、ユキヒョウのおもな食べ物だ。
「ヒョウはやがて獲物をあきらめて、去っていきました。こういったことが寺院の近くでたくさん起こっています。野良マスティフは、この地域の生態学的な食物連鎖と絶滅危惧種に悪影響を与えています」
野良マスティフによる深刻な被害
中央アジアやチベットの遊牧民族が牧羊や狩猟のために交配した犬種の子孫であるマスティフは、大型で、ものすごく忠実で、どう猛だ。
北京大学生命科学学院の研究員である劉銘玉(リュウ・ミンジュ)は、2014年から、青海省の三江源国立自然保護区でユキヒョウにマスティフが及ぼす脅威について研究している。リウの概算では、この自然保護区にいる野犬の数は16万匹ほどに上り、そのうちの97%がチベタン・マスティフの血統だという。
ユキヒョウは近絶滅種で、中国では約2000匹しか残っていない。
劉は、GPSトラッカーと赤外線カメラを用い、排泄物を分析し、ユキヒョウの生息地の17%にマスティフがいることを突き止めた。その調査結果は、2018年にニューヨークで開かれた国連の野生生物保護フォーラムで発表された。
「チベタン・マスティフはチベット高原に生息する全肉食動物のなかで最多・最速で繁殖している種です。群れを成しており、野生動物にとっての脅威になっています。食料と生息地をめぐって野生動物と競い合っているからです」と劉はフォーラムで述べた。
チベットの村人たちは、マスティフが熊を追いかけたり、家禽、キツネ、羊を食べたり、人間を攻撃したりする光景によく出くわすと証言している。
2016年には、青海省で8歳の少女が子連れのメスのマスティフにかみ殺されてしまった。
チベット自治区の当局の報告によれば、人が野犬に襲われてケガする事件は目下、月平均で180件発生しているという。
マスティフは狂犬病のほか、エキノコックス症も人に伝染させる。
2億円近い売値が付いたチベタン・マスティフ
「無差別殺人者」「厄介者」といった悪評は、ごく最近までこの犬種が保持してきた高評価とは雲泥の差だ。
2014年には、チベタン・マスティフの子犬が200万ドル(約2億円)近い価格で売られ、世界で最高値の犬になったと「銭江?報」が報じた。
浙江省の高級ペットフェアで、ある不動産開発業者が、黄金色の毛をした1歳のマスティフに1200万元(約1億9000万円)を出したのだ。
「これはライオンの血を引いていて、最高級のマスティフ種なんだ。純血のチベタン・マスティフはすごく珍しい、中国が大事にするパンダみたいにね。だから、値段も非常に高額になる」とその犬のブリーダーは述べている。
オスの成犬の体高は最低でも66cm、体重は45kg以上にもなり、たてがみがライオンに似ているチベタン・マスティフは、元朝(1271〜1368年)の頃に名高く、軍犬としても訓練された。
民話にもマスティフが登場する。あるチベットの君主が臣民を飢えから救うため、大麦の種を蛇のような怪物から盗もうとして、マスティフに変えられてしまった。マスティフとなった君主は長い道のりを歩いて、臣民のところに大麦の種を持ち帰った。
https://news.yahoo.co.jp/articles/4c2f91a69b6f53cba883557dce7b876b3fca1df2?page=1