【北陸支局】 「推進法」制定から4年。各行政のとりくみ状況の確認と課題整理を目的に部落解放同盟が昨年11月26日に石川県の白山市、金沢市と、27日には富山県と行政交渉した。中央本部からは池田、橋、安田の各中執が参加した。

<富山県交渉>人権教育予算が12自治体でゼロ

 富山市・富山県民会館で27日午前におこなった第63回富山県交渉には、県側から武隈俊彦・生活環境文化部次長、村岡真由美・県民生活課長ら14人が出席。テーマは、@「富山県人権啓発・教育基本計画」改訂にさいし同盟が提出して退けられた―⑴検証する仕組みを、⑵検証の指標として数値目標を、⑶施策推進の組織整備と人材確保を―への見解、A人権意識調査(2018年11月実施)結果からの教訓・課題、Bネット上の差別情報への対応、C自治体窓口への被差別部落の問い合わせ問題、D人権教育・啓発施策の予算、E部落問題に関する啓発、職員・教職員研修の状況、F公正採用問題、G「推進法」制定を受けた施策の特徴・今後の課題など。

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 Aでは村岡課長が「ひき続き周知や啓発にとりくみたい」と回答。同盟は「内容が問われているのではないか」「県のHPはどの程度見られているのか」「県のHPに人権≠フサイトが見当たらない。表示してほしい」と指摘・要請した。

 Bで村岡課長は、前回交渉の2018年11月以降、県による削除要請の実績、削除要請の相談とも「ない」と回答。同盟は「前回、県側出席者の半数が「全国部落調査」を見たと答えたのに、何もしてこなかったのは理解できない」「前回交渉後の事務協議で削除要請をしたではないか」「相談がないのは、県民に認知されていないからでは」と指摘し、村岡課長は謝罪。法務省の依命通知を、村岡課長は「読んだ」と応じたが、県教委の参加者8人全員が無言。情報が知事部局から教委へ渡っていないことが明らかに。同盟は庁内や市町村の会議での周知を求め、県は周知を約束した。

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 Dでは、県と市町村の20年度人権教育・啓発予算が示された。県予算は知事部局1471万8千円(前年比47万8千円の減)、教育委員会部局が331万5千円(前年と同額)、合計1863万2千円。市町村では従来から人権教育予算ゼロの自治体が多いと指摘。20年度も7市、4町、1村の12自治体で人権教育予算がない実情に、同盟は「地方交付税に人権教育促進事業費が算入されていることを示し、来年度に間に合うように」と提案・要請。

 E啓発、職員・教職員研修の19年度実績と20年度計画一覧で、部落問題が「19年度職員研修に皆無、20年度は240人が受けただけで、教職員では両年度とも該当がない。量・質ともあまりに不十分」「全職員が1回の研修を受けるのに何年要するのか。研修計画が必要」と同盟が指摘。村岡課長は「他府県の状況を調べたい」と回答した。

 Fでは、県教委が公正採用違反状況を説明。違反事業所は19年3月卒業、20年3月卒業とも12社で、面接時の家族構成や家族の職業の質問が依然として多い。

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<金沢市交渉>モニタリングの実施は検討継続

 金沢市庁舎内会議室で11月26日午後おこなった交渉には、市側から相川一郎・副市長、高村政博・市民局長、石田真紀子・人権女性政策推進課長ら13人が出席した。テーマは@「推進法」制定後の施策の特徴・課題と条例制定、A人権意識調査、Bネット上の差別情報への対応とモニタリングの実施、C被差別部落の問い合わせ問題、D人権・同和行政関係予算、E部落問題にかかわる教育実践、教職員の人権意識調査、など。

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<白山市交渉>問い合わせ対応に再検討を求め

 白山市民交流センター会議室で11月26日午後、前年に続きおこなった第2回交渉に、市側から井田正一・副市長、村田久美・市民生活部長ら6人が参加。テーマは、2017年5月の市内被差別部落問い合わせにかかわって@事実関係、A対応マニュアルの見直し、B部落問題に特化した研修、C連絡体制の不備克服などの市のとりくみ、D本人通知制度の導入など。

 井田副市長は「何よりも継続したとりくみが大切」とあいさつ。@では村田部長が市の対応者への聞き取り調査結果を説明。「青年からの電話に文化財課長が対応」、問い合わせ理由は「結婚相手の女性の出身地が同和地区かどうか知りたい」。「(その町が)いつ頃できたのか支所に尋ね、新しくできた町なので青年には「同和地区ではないと思う」と返答」「その後、青年から電話はなく、納得されたと判断」。「文化財課長に人権問題の認識がなく、詳しいやりとりは把握できず」と説明した。(続きはソース)

解放新聞 2021.01.25
http://www.bll.gr.jp/info/news2021/news20210125-2.html