杉原里美、姫野直行
2021年1月30日 19時53分

 大規模な会場での集団接種が想定される新型コロナウイルスのワクチンの接種体制について、東京都練馬区は30日、身近な診療所での個別接種を中心とする「練馬区モデル」を実施すると発表した。厚生労働省は先行事例として、全国の自治体に情報提供した。早ければ4月以降に65歳以上の高齢者への接種を始めるという。
 承認が見込まれる米ファイザー社のワクチンは零下75度前後で保管し、解凍後は5日以内に使い切る必要がある。厚労省は昨年12月の段階では、1度に会場に運ばれる1170回分を1カ所で使い切る前提で、自治体に説明していた。だが、その後、ワクチンを小分けして移送が可能との見込みになり、同省は自治体の事情によって小規模な会場での接種も組み合わせることを推奨している。練馬区は区医師会と小分けして住民に身近な診療所に運ぶ方法を検討してきた。
 「練馬区モデル」は、約250カ所の診療所での個別接種を中心としつつ、区立施設や学校体育館などでの集団接種を組み合わせて、短期間で接種を終えることを想定。ワクチンを冷凍保管する4カ所の区立施設で、50〜70個に小分けして配送業者が3時間以内に各診療所に運ぶ。集団接種の予約は区が受け付けるが、診療所へは直接申し込む。診療所の活用で、集団接種会場に必要な医療スタッフも抑えられるという。
 これまでの高齢者向けのインフルエンザワクチン接種も診療所へ直接申し込む方式のため、区は混乱が少なく、車やバスで移動する必要もなく、安心して接種できる利点があるとしている。

https://www.asahi.com/articles/ASP1Z677ZP1ZUTIL00P.html