セブンスターは、1969年の発売当初は、100円。現在は、560円で販売されているため、約50年で価格は5.6倍に...。――なぜ、昔はこんなにもたばこが安かったのだろうか。

同館学芸部長で日本近代史やたばこ産業史を専門とする鎮目良文(しずめよしふみ)さんが、筆者の疑問に答えてくれた。

「それは1904年から1985年まで、国がたばこを製造して販売していたからです」と説明する。

「いわゆる国が1社で売っているようなものなので、一般企業では、なかなかできない効率化ができていました。製造コストをなるべく低めにし、安く沢山売って、その収益を税収としていたのです」(鎮目さん、以下同)

とはいえ専売制がなくなってすぐ、たばこが一気に高くなった、というわけではない。筆者が吸っているメビウス(マイルドセブン)の、詳しい価格の変動を見てみよう。

「たばこと塩の博物館」が監修している「たばこパッケージクロニクル」(2008年発行)という書籍には、各銘柄の価格がどのように変遷してきたかがわかる「戦後たばこの価格一覧表」が資料として掲載されている。

77年...150円
80年...180円
83年...200円
86年...220円
97年...230円
98年...250円
03年...270円
06年...300円
10年10月...410円
14年4月...430円
16年4月...440円
18年10月...480円
19年10月...490円
20年10月...540円
(08年発行の資料のため、それ以降の価格は筆者が調査)

83年までは、専売制の時代で。86年以降の価格がJTで販売されている価格だ。少しずつ値段が上がって行っているのがわかるだろう。(10年はいささか急に値上がりしているが...。)

この値上げに関係するのが、税金だ。現在、たばこの価格には、次の4つの税が含まれている。

(1)国たばこ税
(2)地方たばこ税
(3)たばこ特別税
(4)消費税

上の3つが、いわゆる「たばこ税」だ。

(1)と(2)は、専売制の廃止に伴って85年に定められた、国や地方に還元される税。そして(3)のたばこ特別税 に関しては、98年に創設されたもので、「旧国鉄事業団の債務処理」で、いわば旧国鉄時代の借金返済に充てられている。

鎮目さんによると、「バブル崩壊後のツケを払っている」そうだ。これらのたばこ税が03年、06年、10年、18年、20年のそれぞれ7月に増税。

また、(4)の消費税は89年に3%の税率で導入されて以来、97年に5%、14年に8%、19年には10%まで上がった。これらの増税が、たばこの値上がりにつながっているのだ。

この結果として、たばこの価格のうちかなりの部分が税金になっている。

JTの公式ウェブサイトにあるたばこ税の仕組みのページによると 1箱540円のたばこは、そのうちの61.8%にあたる333.97円が税金。

ちなみに、ビールは価格の48.5%、ウイスキーは28.6%が税金で、同じ嗜好品であっても、たばこの価格における税金の割合はかなり大きくなっている。

昔は、たばこが安かった。ただ様々な社会事情によって、たばこ産業はあおりを受けている...、そんなことを思いながら今日もたばこを吸う筆者であった。

https://article.yahoo.co.jp/detail/485ebacff0eb5423868eeee2984e17def5353f5e
【喫煙】「昔は、たばこが安かった」←いったい、どのくらい?たばこの歴史と社会情勢を探る [かわる★]
https://asahi.5ch.net/test/read.cgi/newsplus/1612259462/