新潟市北区の松浜漁港近くの阿賀野川河口で、冬の風物詩であるヤツメウナギ漁が行われている。地元で親しまれてきた珍味だが、漁獲量が減り、漁師も高齢化などで少なくなっている。漁師の1人は「食べたいという人がいる。体の動く限り続けたい」と、こつこつと取り続けている。

 「3本(匹)か。今季は昨季以上に不漁だね」。1月下旬、冬晴れの下、阿賀野川に仕掛けた網を引き上げた斉藤守さん(72)=北区松浜3=はあきらめ顔で網の中のヤツメウナギを見つめた。

 夏のシジミ、秋のサケと並ぶ松浜の名物。ヤツメウナギ漁は例年12月7日に解禁され、2月いっぱい行われる。昭和40年代は1回で数百匹取れるほどだったというが、ここ数年は期間中で百匹を下回る時もあり、漁に出るのは数日に1回のペースとなっている。多い時は16人が携わっていたが、現在、松浜で県に漁を届け出ているのは2人のみ。今のところ、後継者はいない。

 産卵のために遡上(そじょう)するヤツメウナギを追い込む袋網漁法という昔からの漁法で取る。漁は厳冬期に行われるため、雪が舞う日もあり、水の流れで重くなった網を上げるのは一苦労だ。

 ヤツメウナギはビタミンAなど栄養価が高く、かば焼きやみそ汁の具などで地元で食されてきた。ただ、不漁の今季は平均すると1日に取れるのは1、2匹。漁獲が減ったため、店頭に並ぶことはほとんどなく、事前に頼まれた鮮魚店などに販売する程度だ。

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