(ブルームバーグ): 5日の東京株式市場で、日産自動車や三菱自動車などの株価が大幅に上昇している。
米アップルが日本を含む複数の自動車メーカーに対し、電気自動車(EV)の生産を打診しているもようだと伝わり、受注期待が広がった。

5日付の日経新聞朝刊によると、 サプライヤー幹部は「少なくとも6社くらいで交渉が進んでいる」と指摘したという。
日産自や三菱自、スバルの株価は上昇率が一時8%を超え、決算を前日に開示したマツダは制限値幅いっぱいまで上昇する場面があった。

市場ではアップルからの打診報道で受注の思惑が出ているとの見方が出ている。
岩井コスモ証券投資調査部の有沢正一部長は「電気自動車(EV)化の波に乗り遅れ、取り残された感のある日本の自動車業界にとっては降って湧いたニュース」と話した。
ブルームバーグ・インテリジェンスの吉田達生シニアアナリストも、日産自などはアップルの発注を受けるのではないかという思惑が出ているようだと指摘する。

トヨタやホンダといった伝統的メーカーは、開発・企画・製造から販売・アフターケアまでを自社グループで行う強固なゴールデンサイクルがある。
一方、「日産自や三菱自は受注してもおかしくないという連想が働きやすい」と有沢氏は指摘する。

足元では自動車メーカーの四半期決算の発表が続く。これまで業績が振るわなかった三菱自が2日に発表した決算が改善した。
「同様に日産自が回復に向かうと連想が働きやすい」と吉田氏は株価の追い風になっている側面があるとみる。

もっともアップルからの受注が日本の自動車会社の生産台数をどれだけ押し上げるかは不透明。
既存の自動車メーカーにとって、アップルによる自動車産業への参入は手放しに喜べない。
有沢氏は「国内自動車メーカーがアップルからの打診を本当に受注するのか、したとしてもどれだけメリットがあるのか」と懐疑的で、株価上昇は一時的とみていた。

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