島津製作所は8日、パソコンやドアノブなど物に付着した新型コロナウイルスを短時間で検出するPCR検査用の試薬キットを発売した。病院や介護施設などで、接触感染の経路確認や予防に役立ててもらう。同社によると、物に付着した新型コロナウイルスを検出する試薬キットの発売は世界で初めてという。

 発売した試薬キットには、ウイルスを分離させる専用の濃縮液とPCR検査用の試薬が入る。市販の綿棒で検査対象の表面を拭って生理食塩水に浸し、濃縮液を加えて遠心分離器にかけるとウイルスが沈殿。上澄み液を除き、独自の試薬を加えてPCR検査のための装置にかける。最短約2時間で判定結果が出るという。

 物質の表面に付着する新型コロナウイルスを検出する技術はあったが、ウイルスの濃縮や前処理などに最長約20時間かかり検査普及の課題となっていた。島津製作所は平成28年、物に付着したノロウイルスを検出する試薬キットを発売。昨年4月には新型コロナ患者ののど粘膜などからウイルスを検出する試薬キットも発売しており、こうした技術を応用して今回のキットを開発した。

 販売価格は1キット(検査100回分)で27万5千円(税別)。PCR検査装置を持つ検査機関や病院などへ年間1千キットの販売を目指す。

 島津製作所の江連徹・細胞事業開発室長は「病院のコロナ患者のいるエリアを分けるゾーニングでウイルスの拡散が防げているかや、清掃でウイルスが除去できたかなどの確認に活用してほしい」としている。

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