欧州各国の駐日大使館まで巻き込み、世界中から女性蔑視発言を非難されている東京五輪・パラリンピック組織委員会の森会長。
ところが、SNS上では森発言を容認する「内なる喜朗」の叫び声が噴出し、
国際社会に顔向けできない「恥の上塗り」状態となっている。

〈もともとオリンピックは女人禁制だったのに…森会長はお気の毒だと思います。もういじめるのは止めてください。なう〉

 6日に自身のツイッターでこう訴えたのは、高須クリニックの高須克弥院長だ。
前時代の話を引き合いに、森会長への抗議を「いじめ」と捉え「気の毒」と同情しているあたり、前時代的な発言を容認したも同然だ。

 森会長の発言について女子テニスの大坂なおみは「ちょっと無知」と指摘したが、これも「いじめ」なのか。
高須院長に取材を申し込んだが、「本人と連絡がつかない」(広報担当)とし、現時点で回答を得られなかった。

 舛添要一前都知事も公然と森会長を“支持”だ。
7日に〈女性蔑視発言は批判されるべきだが、彼の大きな働きも忘れてはならない〉と自身のツイッターに投稿。
日刊スポーツの取材に「森さん以外に会長職は出来ないと思う」とヨイショした。

 舛添氏は五輪招致に駆けずり回った森会長の「功績」を称賛するが、女性蔑視は次元が異なる問題だ。
国際イベントのトップに居座らせる理由にならない。発言の真意を確かめるため舛添政治経済研究所に問い合わせたが、多忙を理由に応じなかった。

各国大使館にヘイトコメント

高須克弥院長(左)と舛添要一前都知事(C)日刊ゲンダイ

 驚くのは、似たような「同情論」が、ネット上に噴出していること。ツイッターで「男女平等」を訴えた欧州各国の駐日大使館に対する非難の数々は特にヒドイ。
「心の中の喜朗」をブチまける人が続出しているのだ。

〈#dontbesilent(黙っていないで)〉〈#genderequality(男女平等)〉――。
こうしたタグと一緒に挙手する職員の写真を投稿した駐日ドイツ大使館のアカウントには、
日本語で〈今すぐドイツに帰ってください〉〈これはナチ式敬礼でもしてんのか?〉など“ヘイトコメント”がズラリ。

 各国大使館の投稿への反発に共通しているのは、〈中国や北朝鮮の人権問題はいいのか〉〈全文読め〉
〈老人をいじめるな〉など、論点をスリ替えた攻撃だ。
ただでさえ、森会長の発言が「日本の恥」をさらしているのに、まさに「恥の上塗り」じゃないか。

「組織委の姿勢も恥の上塗りです。森発言を『不適切』とし、『多様性と調和』を強調する一方、“ボス”の慰留に努めた。
言っていることとやっていることがまるで違う。こんな屁理屈を通してでもかばう意識は、ウイグル問題などを持ち出して同情する人にも共通しています。
女性蔑視発言をした人物をここまでかばう、ありのままの日本の姿を国際社会に見てもらえるのは、ある意味“有意義”だと思います」(コラムニストの小田嶋隆氏)

 菅首相も森会長の発言を「芳しいものではない」と言いながら、進退については「(解任する)権限がない」の一点張り。
一体いつまで、この国は恥をさらし続けるのか。

■参考
森会長の発言「五輪憲章の根本原則に違反」 専門家指摘
https://www.asahi.com/articles/ASP2451BZP24UTQP00X.html