2020年上半期の米国でのレコード売り上げが、CDを上回ったという全米レコード協会の昨秋の発表は、衝撃をもって受け止められた。日本でもレコードの売り上げはこの10年で10倍以上になった。カセットテープ市場も、世界的ミュージシャンが続々参戦し、熱を帯びる。サブスクリプション(定額制)の配信によって1千円程度で数千万曲が聴ける時代に、なぜアナログが人を引きつけるのだろうか。

 2月の日曜日の午後、アナログレコードを中心に扱う東京・渋谷の「HMVレコードショップ渋谷」を訪れると、店内には若い世代の姿が目立った。

 横浜市の高校1年生、永井公さん(16)は、宇多田ヒカルを手始めにレコードを買うようになった。2004年生まれで、音楽配信サービスが当たり前の世代。定額の音楽配信サービスには入っているが「盤に針を落としたときのパチパチという音で心が温かくなるし、部屋に置くだけで気分が上がる」と話す。

 店長の野見山実さんによると、…(以下有料版で,残り1281文字)

朝日新聞 2021年2月12日 8時00分
https://www.asahi.com/articles/ASP2B5HPBP2BUCLV00D.html