https://www.itmedia.co.jp/news/articles/2102/12/news142.html

「国でシステムを導入する難しさを感じた」――平井卓也デジタル改革担当相が2月12日の会見で、
政府の接触確認アプリ「COCOA」の不具合について、厚生労働省担当のCIO(最高情報責任者)から
ヒアリングを受けたことを明らかにした。会見では不具合の原因がアプリのAPI連携にあったことを説明した上で、
今回の不具合から得た課題やデジタル庁を創設する意義などを改めて強調した。

COCOAは陽性者と1m以内、15分以上の接触があったユーザーに通知を送るアプリ。
厚生労働省は2月3日、Android版アプリに新型コロナウイルス陽性者と接触したユーザーへの通知が
送られない不具合があったと発表。厚労省によると2020年9月28日のアップデート以降、
Androidでは接触通知APIから出力される値が想定と異なっていた。このため、接触が正しく通知されなかったという。

こうしたことを踏まえ、平井大臣は今回の不具合の原因について「設定の問題。(原因は)APIの使い方を誤ったことに尽きる」とコメント。

COCOAを巡っては、米Appleと米Googleの共通通信規格が「1国1アプリ」「保健当局の開発」に限られており、厚労省が主導することになった。

そうした経緯があるだけに、「GoogleやAppleともっと詰めたコミュニケーションをしていれば(時間や距離など)
パラメーターの調整で失敗することはなかったと思っている。こういうのは人任せにしちゃダメな分野だとつくづく感じた」と平井大臣。

「パラメーターの設定は保健所などの現場を持っている厚労省でなければできない」とアプリ改修の主体が
厚労省であることを改めて説明しつつ、開発を主導できなかったことへの悔しさをにじませた。

今後、COCOAを運営する主導権を内閣官房IT総合戦略室(IT室)に移す考えがあるかとの報道陣の質問に対して、
平井大臣はCOCOAが新型コロナウイルス感染者等情報把握・管理支援システム(HER-SYS、ハーシス)の追加予算で
発注されているとして「最終的な運用も厚生労働省の現場抜きでは動かせない。われわれ(IT室)は技術的なサポートが中心となる」と、
IT室主導のアプリ改修の考えを否定した。

COCOAアプリの見直しについても「仕様書から根本的に見直すことはできない。
当初考えていたCOCOAの機能を発揮できるところまでやる」と答えた。

では一体、今回得た教訓は何だろうか。平井大臣はアプリのアップデートという発注に国が不慣れだった点を指摘する。
「これまではお金を出して終わりだったが、これ(アプリ)は常に関与し続けないといけない。永久に完成しないものに
国は今まで付き合ったことがない。今までの国のシステムの発注とは違う種類だった」と振り返り、
「今後はわれわれ(デジタル庁)できっちり見る」としている。

「デジタル庁では多重構造ではない発注の仕方を」
 
COCOAのアプリ開発を巡っては、多重下請け構造による情報共有のミスがあったのではないかとの指摘もある。
これに対し、平井大臣は「全ての国の発注業務もそうだが、プロジェクトがあり、プロジェクト管理をする人がいて、
その能力がある会社が協力するという構図はなくならないと思う」と私見を述べた上で、
「マスコミ報道で中抜きとか丸投げとかいうが、そういうのが許されるような状況はITの世界にはないと思っている」と指摘。

ただ、「発注者に能力が無かった時にはスタート段階から外部に委託する。そうすると下のレイヤーに仕事が出ていく」とし、
「デジタル庁を作る目的が発注能力を高めるということ。自分でプロジェクト管理できる能力をもつということなので、
デジタル庁では今後、このような多重構造ではない発注の仕方を最終的に目指していきたい」と改めてデジタル庁創設の意義と
創設後の方針を示した。

「バグが多すぎる」COCOAアプリに改めて苦言、厚労省への同情も
 
会見ではCOCOAアプリの仕様に改めて苦言を呈す場面も。平井大臣は「いくら何でもバグが多すぎる。ここまでのトラブルは普通ありえない」
とし、「ずっと人が張り付いて見ていれば、これ(不具合)をもっと細かく見ることができたと思う。
私自身、そういうことが反省点だったのではないかと感じている」とコメントした。

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