ケーキ作りは超重労働
 去年、バレンタイン商戦を取材していた時に、大手企業のスイーツ事業の担当者がこう話した。

「パティシエは毎日の作業が大量にある重労働。女性には体力的にキツいから続けられないんですよ」

 ケーキを作るのは実に手間がかかる。スポンジを焼き上げ、クリームや砂糖菓子、フルーツなど素材を乗せていく。しかも芸術品のように美しく仕上げていく。それをパティシエは何種類も作るのだ。

売れ残ったら当日中に全て廃棄
 さらに、生ケーキは賞味期限が1日だから作り置きはできない。売れ残ったら全部夜には廃棄し、次の日の早朝からまた作る。開店前にケーキができあがったら、今度は次の日の分の準備に入る。

 休みの日もなにかしらの下ごしらえをするし、新商品の試作や勉強なども必要となろう。ようは長時間労働の立ち仕事が毎日続くのだ。

 このような事情から、熱心な女性のシェフパティシエが身体を壊し、店を開けられなくなったという話も耳にする。

出産後も早朝から厨房に立たなくてはいけない
 どんな業界でも「長時間労働」というのは女性に向かないとされる。医師の世界もそうだ。なぜ女性の外科医が増えないのか。理由は、外科医は術前術後の管理があるため、24時間体制が365日続くからだ。

 患者の容体が急変したら、深夜でも早朝でも遠慮なく病院に呼び出される。このような仕事は例外はあるにせよ、女性には向かない。実際、取材でお世話になった女性外科医が何人も身体を壊し、病院を辞めていった

 一方、麻酔医は基本的に手術中の麻酔の管理をする仕事で、術前や術後は拘束されないから、体力的な負担が比較的少ない。ゆえに、基幹的な大病院でも、麻酔科は部長から若手まで全員女性医師ということもある

 社会における男女の役割分担がなくなり、教育を受けるチャンスも変わらない。しかし、やはり、先天的な体力の差はなくならない。スポーツ競技も男女別であるように、身体のつくりが違うから体力的な差はあっても当然なのではないか。また、出産後、早朝から厨房に立つためには、家族の協力が必要となるが、それが得られない場合も多い。例外もあるが、女性は長時間労働の仕事に向かないと言われる

 パティシエの場合、出産を機に正社員からパートにシフトする女性も多いという。子育てが一段落してから正社員に復帰することはできても、オーナーシェフとして店を持つには年齢的に遅くなってしまう