0001蚤の市 ★
2021/02/17(水) 08:15:07.00ID:VF1n+6Wd9今沢真・経済プレミア編集部
東芝は2月12日、2021年3月期連結業績予想を上方修正し、最終(当期)利益が従来示していた500億円から700億円に膨らむと発表した。物流子会社の売却益が想定より増えたことなどが貢献した。年間配当も従来予想の1株当たり40円から50円に引き上げた。前期は年間20円だった。
東芝は15年、売上高や利益を不正にかさ上げしていた不正会計が発覚し、米原子力子会社の経営破綻が加わって債務超過となり、16年3月期から18年3月期まで3年間にわたって配当ゼロになった。半導体子会社の売却などで危機を回避し、19年3月期に年30円で復配していた。
不正会計発覚前の15年3月期は年間配当4円だった。東芝はその後に株式併合(10株を1株に)をしており、4円配当は今の40円にあたる。このため、今回の50円配当への引き上げで、不正会計発覚から6年目にして、その前の配当を上回ったことになる。
不透明感が増すなかでの“増配公約”
東芝は今回、配当に関してもう一つの発表をした。それは「22年3月期の配当も増配を目指すことにし、5月の年度決算発表の時に正式決定する」との内容だ。来年度の増配を“公約”したのだ。
来年度の配当は、来年度の業績に基づいて22年6月の定時株主総会で最終的に確定する。コロナ禍で不透明感が増すなかでも、配当方針を早めに公表することは悪いことではない。ただ、東芝が翌年度の配当方針を今の時期に示すことは異例のことだ。
実は東芝が増配方針を示したのは理由がある。東芝の大株主である海外投資ファンドから、強い要求が出ているからだ。
大株主の投資ファンドの要求
昨年12月、大株主である海外ファンド、チヌーク・ホールディングスが東芝に臨時株主総会開催を請求した。チヌークの要求は今後5年間の合理的な資本政策を臨時総会で議案として示すよう求めるものだった。資本政策の中身次第では、5年間の営業面の現金収支の稼ぎをすべて増配などの株主還元に充てる規定を定款に盛り込むことをチラつかせた強硬な請求だった。
営業面の稼ぎをすべて株主還元に充てるといった話は経営陣としては簡単に受け入れられるものではない。ただ、チヌークは東芝の議決権の3%以上を保有している。要求を完全に無視すれば、他のファンドも同調しかねない。株主の利益に十分配慮していることを示すため、経営陣は今回「今期50円に増配、来年度も増配の方針」を公表したのだ。
東芝の株主には、株主還元を強く求める「物言う株主」である海外投資ファンドが多い。17年に東芝は債務超過を回避するため6000億円の巨額増資を行った。それを引き受けたのが海外投資ファンドだった。「物言う株主」と言えば聞こえはいいが、要求が目先の利益だけに偏れば「ハゲタカファンド」とも言われかねない。経営陣にとってやっかいな株主だ。
東芝に対しては、別のファンドも昨年の株主総会の議決権行使書の集計をめぐる問題で臨時株主総会の開催を要求した。このため、東芝は3月18日に臨時株主総会を開くことを決めた。
毎日新聞 2021年2月17日
https://mainichi.jp/premier/business/articles/20210215/biz/00m/020/009000c