ミシェル・ロバーツ保健編集長、BBCニュースオンライン

イギリスでこのほど、新型コロナウイルスの新しい変異株が発見された。いくつかの懸念すべき変異がみられるという。

新たな変異株「B.1.525」は、南アフリカで特定された変異株に似ている。南アの変異株が確認された地域では、当局が各戸を訪ねて検査・追跡した。

エディンバラ大学の研究チームは、昨年12月以降のサンプルからこれまでにイングランドで36件、ウェールズで2件、「B.1.525」を発見した。

この変異株は、デンマークやナイジェリア、アメリカでも確認されている。

イギリスの研究者は、この変異株の及ぼすリスクについて研究を行っている。

この変異株が、大規模検査が必要となる政府の「懸念すべき変異株」リストに加わるのかどうかはまだ分からない。現時点では「調査中の変異株」という扱いだ。

イギリス政府のウイルス対策顧問を務めているケンブリッジ大学のラヴィ・グプタ博士は、「B.1.525」では他の変異株でも見つかっている「大きな変異」が起きているようだと指摘した。

「どんな影響があるかを予測できるので、ある意味安心できる」

イングランド公衆衛生庁(PHE)のイヴォーン・ドイル教授は、「PHEは新しい変異株のデータを詳細にモニタリングし、追加検査や追跡調査の強化など、公衆衛生上の措置が必要かどうかを判断している」と語った。

「現在、一連の変異株がCOVID-19の重症化や感染率の上昇を引き起こしているという証拠はない」


■「注意深く見守っている」

「B.1.525」には、ブラジルや南アで特定された変異株にも見られる「E464K」という変異が確認された。この変異は、ウイルスが人体の免疫機能を回避できるようにする可能性が指摘されている。

一方で、イギリスで特定された「ケント型」の変異株と似た変異もあり、これは従来型よりも感染力が高くなるものだと専門家は述べている。

心配なのは、ウイルスがより流行しやすく、現存のワクチンから逃れられるかもしれないような変化を見せていることだ。

現在流通しているワクチンは、従来型を標的に作られた。これらのワクチンも変異株に効果があるはずだと専門家は述べているが、有効性は薄れるかもしれない。

グプタ博士の研究チームが行った試験では、「E464K」などの変異はワクチンへの脅威になるとみられている。

一方で、次の冬に備える形で、変異株に対応したワクチン開発もすでに始まっている。

ユニヴァーシティー・コレッジ・ロンドンの疫学者アンドリュー・ヘイウォード教授は、「幸いにも、この変異株は他よりも速く広がっている様子はなく、非常に、非常に低いレベルにとどまっている」と話した。

「変異株がどのような影響を及ぼすのか分からないので、すべての変異株を注意深く見守る必要がある」

2/17(水) 12:42配信
https://news.yahoo.co.jp/articles/89890341461b628861a9e77704adbb66d90c20a0