3月7日を期限としている新型コロナウイルス緊急事態宣言を巡り、関西や中部、福岡の6府県で月内にも先行解除される見通しとなった。これに対し、首都圏の1都3県では前倒し要請をしない方向だ。なぜ解除できないのか。

 東京都と埼玉、千葉、神奈川3県の各知事は23日にテレビ会議を開き、緊急事態宣言解除の前倒しを要請しない方向で一致した。

 厚生労働省の16日時点のデータでは東京の重症者の病床使用率は86・2%と、最も深刻な「ステージ4」(爆発的感染拡大)の指標50%を大きく上回っている。一方、都のモニタリング会議の17日時点の同使用率は26%と大きな開きがあり、実態把握が難しい。

 都の23日の新規感染者は275人、重症者数は77人まで減少した。数値は改善しているが、小池百合子都知事は「対策を講じなければ再拡大する。3月7日で宣言期間を終わらせるという強い意識を持つべきだ」と訴えた。

 埼玉県が懸念材料としているのは、変異株の感染者が全国最多となっていることだ。大野元裕知事は「感染が再拡大すれば医療機関の負担となる」と説明する。

 神奈川県の黒岩祐治知事は「桜が咲き、卒業、入学シーズンが来れば感染者が激増しかねない。3月7日で解除できるかも心配な状況で、前倒しなど冗談じゃない」と強調した。ただ、「神奈川県単体で見れば、各指標はいい線まで来ている」とも述べている。

 千葉県は新規感染者が増加傾向だ。東洋経済オンラインが公表している実効再生産数も千葉は22日時点で1・11と感染拡大の節目となる1を上回っている。森田健作知事は医療提供体制が改善しつつある一方で、少しの変化で逆戻りしかねないとの懸念を示した。

 西村康稔経済再生担当相は23日の記者会見で、首都圏の感染状況について、飲食店に対する営業時間の短縮要請を一層強める必要があると述べた。新型コロナウイルス対応の改正特別措置法に基づく「命令」などの適用も「場合によっては視野に入る」と述べた。

 ワクチンの接種スケジュール遅れも予想されるなか、慎重姿勢を打ち出しておいたほうが得策という思惑もうかがえる。ただ、首都圏在住者の感染対策は長期間に及んでおり、危機感ばかり強調されるのも割り切れない部分が残る。

2/24(水) 16:56
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