【シリコンバレー時事】米IT大手に対し、報道機関のニュース記事に対する使用料の支払いを求める動きが世界で強まっている。オーストラリア議会は、グーグルやフェイスブック(FB)に支払いを強制する法案を可決。こうした動きの機先を制し、両社はそれぞれ独自に報道機関に対価を支払う形のニュースサービスの構築を進めており、各国政府とのつばぜり合いが激化しそうだ。

「グーグルとFBが豪メディアと商業的な取り決めに達したことは喜ばしい」。グーグルやFBは先に、法案可決をにらんで記事使用料の支払いで豪メディアと合意。フライデンバーグ豪財務相は、IT大手を交渉のテーブルに着かせた「成果」を誇った。

一方、IT大手は政府主導で進む使用料強制に警戒を強める。FBは24日、今後3年間で10億ドル(約1060億円)をニュース産業の支援に投じると表明。米国や英国の報道機関と対価を支払う取り決めを結んでいるとして、「ただ乗り」批判に強く反論した。

グーグルは昨年10月、報道機関から有料で提供を受けた記事を表示するサービス「ニュースショーケース」を開始。3年間で10億ドルを投じる計画で、欧州や南米などで導入国を拡大しており、参加メディアは世界で500社を超えた。開始時期は未定だが、日本の数社とも合意したという。

ただ報道によると、フランスではグーグルによる支払いの対象に含まれなかったメディアが「不公平で不透明」と激怒した。小規模メディアが取り残される懸念も指摘されており、豪競争当局はIT大手と残るメディアの交渉を注視する構えだ。

2021年02月25日20時31分
https://www.jiji.com/sp/article?k=2021022500991&;g=int