風俗嬢やAV女優を長く取材してきたノンフィクションライターの中村淳彦さんが貧困問題にたどりついたのはいわば必然のことでした。
そして、貧困をめぐる取材を進めると必ずぶつかるのが「新自由主義(ネオリベラリズム)」の問題だったそうです。
しかし、「ネオリベラリズム」という単語を聞いたことがあっても、その内実を知る人は多くないかもしれません。
中村さんと政治学者の藤井達夫さんが「日本におけるネオリベラリズムの実状」を解き明かす『日本が壊れる前に 「貧困」の現場から見えるネオリベの構造』(亜紀書房)から抜粋してお届けします。

(中略)

中村 我々団塊ジュニア世代が生まれるあたりのオイルショック時におけるアメリカからの圧力でネオリベの芽が生まれた。
    でも、僕を含めて一般的に知られているネオリベ路線への転換は、小泉純一郎首相と竹中平蔵大臣による構造改革や経済政策でしょう。
    それ以前になにがあって、どうして小泉、竹中路線へとつながったのでしょうか。

藤井 それについては、まず、中曽根内閣のときの三公社(専売公社、日本電信電話公社、日本国有鉄道)の民営化を挙げる必要があるでしょう。
    非自民党で作られた細川内閣(一九九三年八月〜一九九四年四月)の時点で、すでに労働の規制緩和は行われていました。
    アメリカは八〇年代から経済・産業政策がネオリベ化し、日本に強い圧力をかけるようになった。
    アメリカ自身も、それまではさまざまな産業が規制で守られてきたのに、レーガン政権以降、その規制を国内外で取っ払っていった。

中村 国際的な大きなうねりがあって、日本も同調せざるをえなかった。

藤井 そうですね。そしてアメリカ自体が、貿易赤字と財政赤字という双子の赤字を持っていて、それらを削減しながら、経済成長をしなくてはいけなくなった。
    実は、レーガン政権は弱体化したアメリカを立て直すためにネオリベ的政策を導入した結果、かえって長年アメリカを苦しめることになるこの双子の赤字を増やしてしまったんですね。

中村 アメリカはネオリベを基調にポスト工業化を成功させたことで経済成長できたが、日本はデフレがとまらず、格差も広がり、国民を貧困化させてしまった。

藤井 そう言えると思います。アメリカは国内の規制を徹底的に緩和すると同時に、国家同士の規制も緩和するように迫ってきた。
    アメリカは日本にも市場を開放しなさい、つまり規制を取っ払え、と言ってきたのです。

中村 規制を取っ払って市場開放してグローバルになれば、顧客の層が広がりますね。国際的な競争がはじまって、勝つことができれば大きな利益が見込める。
    日本はそれに抗することはできなかったのでしょうか。どうして規制緩和をせざるをえなかったのでしょう。具体的にアメリカは誰にプレッシャーをかけるのですか。

藤井 プレッシャーはいろんなレベルであります。基本的には日米通商協議がずっと続いていますから、たとえば、その会議のなかで日本政府にアメリカの意向が直接伝えられます。
    もう一つアメリカがやっているのは、ネオリベ政策を推進する人やシンクタンク、政治家とコネクションのある学者を、日本政府に登用させることです。彼らをとおして日本政府そして世論を変えていくのです。

中村 御用学者ですか。

藤井 アメリカの息のかかった御用学者ですね。

中村 アメリカが日本の学者にどうつながって、どう息をかけるのでしょう。

藤井 コネクションを作るんですよ。たとえばイェール大学で学び、そこでアカデミックな師弟関係ができた日本人学者を帰国させ、日本の大学に勤めさせると同時に、政府の専門員会に登用するとか。
    外からは政府間の交渉会議をとおしてアメリカの要求を突きつけ、政府の重要な経済政策立案者にアメリカのネオリベを学んだ人を登用させる。
    そうすることで日本政府を内側からネオリベ化させていくのです。

(全文はソースにて)
https://www.gentosha.jp/article/17655/

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