「雇用のセーフティーネット」と呼ばれ、いざというときに働き手を守る雇用保険制度がピンチに陥っています。新型コロナウイルス禍で支出が膨らみ、財源が底をつく寸前。保険料率の引き上げや、さらなる税金投入もあり得る状況です。「リーマン・ショック並みでも対応できる」と自信をみせていた政府の目算は、どこで狂ってしまったのでしょうか。

労使そろって心配するほどの事態に
 労働政策を話し合う、厚生労働省の審議会。ふだんは経営側と労働側の委員の意見が対立しがちだが、2月19日、雇用保険の今後が議論になった時は、意見が一致した。

 「制度全体の持続性が、きわめて危惧される」(日本商工会議所の杉崎友則氏)

 「財政がもつのか、心配している」(連合の仁平章氏)

 労使がそろって心配するほどの財政危機は、新型コロナ禍で、企業から仕事を休まされた働き手が増えたことで起きた。昨年4月のピーク時には、過去最大の516万人が休業した。

 雇用保険制度は、失業者向け事業と、休業者など向け事業(雇用保険2事業)の、大きく二つに分かれている。

 政府は新型コロナ禍を受けて、後者の休業者など向け事業のうち、「雇用調整助成金(雇調金)」を拡充する政策を採った。働き手に休業手当を払って休ませ、雇用を維持した企業に、休業手当にかかった費用を助成する制度だ。条件つきで、助成率を100%に引き上げるなどの特例も打ち出した。

 「休業」を支援する雇調金を積極的に使ってもらい、解雇や雇い止めによる失業者の急増を抑える――。これは、2008年のリーマン・ショックの際も採用した手法だ。

 そして政府は、新型コロナ禍の前までに積み上がっていた財源の厚みに、自信を持っていた節がある。

「リーマン並みでも対応可」のはずが…
 リーマン直後の09年度に払った雇調金は6534億円。その雇調金に使える、休業者など向け事業の積立金は、19年度末時点で約1・5兆円に上っていた。もう一方の失業者向け事業の積立金も、リーマン後の雇用改善で、失業手当の支給が減少。途中で保険料率を下げても、19年度末時点で約4・5兆円あった。

 これらの数字を念頭に、厚労省幹部は昨年3月の国会で「リーマン・ショック並みの支出を求められた場合も、対応できる」と答弁していた。

 ところが、新型コロナ禍は長引…(以下有料版で、残り1265文字)

朝日新聞 2021/2/28 7:00
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★1 2021/02/28(日) 07:44:58.44
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