第三セクター天竜浜名湖鉄道(浜松市天竜区、天浜線)が新型コロナ禍で厳しい経営を強いられている。2021年度末の決算予想は、前年度比で7割にとどまる見込み。営業収入の大半を旅客収入に頼る経営体制に、コロナによる観光客減が重くのしかかる。回復には、新たな誘客策や沿線住民の利用促進に向けた具体策が不可欠となる。

 コロナ第1波の昨春以降、最も旅客数が少なかった4月は前年度比43・3%で、以降も平均で同70%台で推移している。「Go Toトラベル」実施期間の10月には同91・9%にまで回復したが、第3波の影響を受け、今年1月は同7割に満たないと予測。経営が感染状況や政府の対策に左右される実態を露呈した。

 天浜線の収入の9割以上は旅客収入が占める。本年度12月までの乗客数は、通勤・通学の定期客が55万人で定期外が31万7千人。一方、収入別では定期が1億円、定期外が1億1千万円。定期収入は人口減やリモートワークの推進によって増加が今後も望めない中、収益率の高い定期外の乗客を増やすことが経営を左右する。

 コロナ禍での苦境は天浜線だけの事情ではない。三セク鉄道全40社が加盟する第三セクター鉄道等協議会によると、加盟全社が前年度比で減収となる見通し。同会事務局は「全社が旅客収入を柱にしている。定期収入が下支えしているが、外の客が来ない状況は経営難に直結する」と状況を分析する。

 そうした中、雑収入増の対策として天浜線が進めるのがラッピング列車の導入だ。2月に人気テレビアニメ「ゆるキャン△ SEASON2」のラッピング列車の運行を開始。同月末にも新たな車両が導入され、全15車両のうち8車両がラッピング列車となる。公式グッズ通販サイト「てんはまや」の開設や鉄道部品の販売会など、鉄道ファンへのPRにも力を入れている。

 しかし、経営改善の道は険しい。長谷川寛彦前社長の退任を受け、昨年12月に後任に就いた松井宜正社長は「今後も厳しい状況は続く。知恵を絞って改善の道を探り、コロナ後に備えるしかない」と、困難を極める今後のかじ取りを見通す。

 「地域の足」として不可欠な存在である天浜線。コロナ禍の苦境の中、これまで以上に沿線自治体の関わり方も問われている。地域による下支えがなくては、存続への危機感は一層高まる。

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2/28(日) 9:34配信
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