2019年10月に東日本を襲った台風19号。
神奈川県川崎市の武蔵小杉駅周辺も浸水被害にあい、街には泥水があふれた。駅前のタワーマンション1棟が全館停電したことも記憶に新しい。

この水害で被災した川崎市の住民70人が3月9日、市に損害賠償を求めて提訴する。住民有志は被災2カ月後に「台風19号多摩川水害を考える川崎の会」を結成し、市へ要望書を提出したり勉強会を開いたりしてきたが、裁判で市の責任を追及することに決めた。

原告団の船津了(69)さんは「市は最後まで責任を認めなかった。これ以上行政を頼れないなら、司法に訴えるしかない」と語る。

●黒い水が自宅を襲った

「2019年9月の台風15号の方が、よほどひどい印象だったんです」と話すのは、多摩川にほど近い中原区上丸子山王町に住む川田操さん。住み始めて10年ほどになるが、2階建ての戸建てが床上浸水したのは初めてだった。

ペットがいるため自宅避難を選んだ川田さん。10月12日の夜、自宅は停電し車や携帯から警報音がピーピーと鳴り響いた。あれよあれよという間に床上浸水し、黒い水が床や壁の間、クローゼットの奥などあらゆる所から溢れ出して来た。タオルでふさぐも到底追いつかず、1階から必要最低限のものを2階にあげた。

翌朝、家の外に出ると、道路には泥が田んぼのように10〜15センチほど溜まっていた。床裏の断熱材はびちゃびちゃになり、撤去に追われた。水につかった扉やクローゼットは歪み、自宅は半壊扱いになった。

「10年も住んでいると、土地に愛着もわいてくるし、戸建てなので近所付き合いもある。当初は市に対して感情的になっていたが、再発防止を求める気持ちがうまれてきた」と原告団に加わった。

●タワマン住民からも署名集まる

冒頭の船津さんは、JR南武線向河原駅周辺の川崎市中原区下沼部に25年ほど住んでいる。台風19号により、3階建ての戸建てが半壊扱いになった。

あの夜、家の前を勢いよく流れていた水は、途中から流れが変わり、透明から濁った水になった。外に置いていた車はハンドルのところまで浸水し廃車。1階の洋間や寝室は、床上20センチまで浸水した。

有志で勉強会を開いていた船津さんらは2020年1月、市に対して原因究明と賠償、再発防止を求める署名活動をはじめ、7648筆もの署名が集まった。うち1780筆が、武蔵小杉駅周辺のタワーマンション計11棟から寄せられたものだ。

武蔵小杉駅周辺のタワマン管理組合などで構成するNPO法人「小杉駅周辺エリアマネジメント」(エリマネ)は、市に対して賠償を求めないとしている。原告団にタワマン住民はいないが、船津さんは「署名の数を見ると、それだけ市に対しておかしいと考えている人がいるのではないか」と話す。

●川崎市「ゲート操作は手順どおり」

川崎市は台風19号の際、内水氾濫の危険をかんがみ、排水管の水門ゲートを閉めなかった。その結果、川崎市内の多摩川沿い5カ所から逆流し、浸水被害が発生。その面積は、計約110ヘクタールに及んだ。

市は検証報告書で「ゲート操作の判断は、操作手順どおり行われていた」「内水氾濫の危険を考慮した判断はやむを得ない」と結論づけているが、原告団は「対応が間違っていた」と批判する。


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3/3(水) 10:09配信

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