神戸新聞3/1(月) 19:00
https://news.yahoo.co.jp/articles/6780ec1ff14317538bc8b5493a36e8b29bae2904
https://www.kobe-np.co.jp/news/sougou/202103/0014116849.shtml 

 新型コロナウイルスの感染拡大でイベント会場などでの集団献血が減り、輸血用の血液不足が懸念される中、異例のアピールに努める献血ルームがある。日本赤十字社が運営する「兵庫県赤十字血液センター」管内の献血ルーム(全7カ所)のうち、最も献血者の少ない「新長田鉄人前献血ルーム」(神戸市長田区)。献血推進といえば「はたちの献血」など、若年層に訴えるのが一般的だが、「昭和世代」に照準を合わせ、協力者の増加を目指す。(吉田敦史)

 「兵庫県内で一番ご協力が少ない長田の街の献血ルーム」。JR新長田駅前、「アスタプラザファースト」地下1階にある同ルームのガラス窓に掲げられたメッセージだ。人通りの少ない場所で、2010年1月の開設から11年たっても認知度が低いままだという。

 統計のある19年度は、休みを除いた1稼働日当たりの献血者数が27人で、県内7施設で最低。同ルームを除く6施設の平均59・1人の半分以下だった。

 特徴的なのは、若年層の少なさだ。10〜30代の割合が県全体の34・9%に対し、同ルームは22・8%。高校生を含む学生の比率も、県が8・3%に対し、同ルームは4・1%と低い。

 一方で60代の割合は16・8%と高く、県平均11・3%の約1・5倍に上る。こうした状況から同ルームは、若年層より中高年に訴える方が地域性に合っていると判断。ルームのガラス窓には「昭和なあなたにお願いです」とのメッセージも掲げ、ひときわ目を引く。

 ただ65〜69歳の人が献血する場合は、60〜64歳の間に献血をした経験がある人に限るとの条件がある。街頭での呼び掛けでは、献血の意思はあっても、こうした条件に合わなかったり、年齢上限の69歳を超えたりした高齢者も多いという。

 このため同ルームでは、過去に採血した40〜60代の協力者にも「昭和世代」への協力を呼び掛けるはがきを送付。はがきを持参した献血者には、箱ティッシュ5個を贈る。

 同ルームの毛藤もと子さんは「自虐的だけど、助けてやろうと思ってくれる方を1人でも増やすことが、輸血用血液の安定確保につながると信じて励みたい」と話す。