住宅情報サイトだけでなく、様々なウェブサイトで不動産関連の鉄板記事となっているのが「持ち家か賃貸か」という議論だ。
しかし多くの記事は結局、結論を出さないまま、読者に判断を任せて終わるものが多いように思う。
しかし筆者が統計データを分析した結果、結論は明白だ。世の中の実態を見れば、持ち家に軍配が上がる。

 今回は、なぜ賃貸よりも持ち家のほうが優れているのかを考えてみたい。

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 持ち家と賃貸のどちらが優れているかを考えるときに、よくいわれるのは以下のような点だ。

・前提条件をどうするかによって結果が大きく異なるので、持ち家と賃貸のどちらが経済的に得かは断言できない
・持ち家にも賃貸にも、それぞれメリットとデメリットがあるので、一概にどちらがよいとは言えない
・コストだけではなく、将来の暮らし方など、ライフスタイルによって、持ち家か賃貸かを選ぶべきである

 さらに、経済合理性を前面に出して、「利便性が高く資産性が維持されやすい都心の新築マンションを10年ごとに買い替えるのがよい」という意見や、
「自宅は購入せず、同じ金額を借りて投資用物件を購入して賃貸に住むのがよい」といった意見もある。

 これらの意見には一定の合理性があり、もっともだとも思うが、実際にこうした選択が可能なほどの収入や信用力、資産運用能力・経営能力がある人は多いとは言えず、一般的な選択肢とはなりにくい。

 ここで持ち家と賃貸について、一般的にいわれていることを整理しておこう。

 持ち家は、

・住宅ローン完済後の住居費が抑えられる
・資産価値は場合によって大きく下がることもあれば、一定の資産となる場合もある
・賃貸のように簡単には引っ越しできない

 賃貸は、

・高齢になるほど借りにくく、家賃をずっと払い続ける必要がある
・多額のローンを抱えているという心理的不安はないが、資産としては残らない
・収入や家族状況等に応じて自由に引っ越しができる

 では、持ち家のほうが優れていると私が考えるのはなぜか。それは、論理的に導き出すよりも、世の中の実態を見ればすぐに明らかになる。
これは経済学で「足による投票」と呼ばれているもので、人々の行動結果が競争の結果であり、合理的な選択だと判断できる、というものである。

 2018年の住宅・土地統計調査(以下「住調」という)によれば、持ち家率は全年齢対象で61%だが、当然、年齢によって大きく違う。
20歳代:6.4%、30歳代:35.7%、40歳代:57.6%、50歳代:67.6%、60歳以上:79.8%となっており、年齢の上昇とともに持ち家率は上がっていく。

 そして、国立社会保障・人口問題研究所が16年に実施した第8回人口移動調査によれば、
5年前の居住地が現住地と異なる人の割合は、25-34歳では50%を超える。
これは毎年約10%の人が引っ越していることを意味するが、年齢が高くなると急激に低下。45歳では20%を下回り、引っ越し率は年率で4%未満になる。

 この結果を素直に判断すれば、世の中の人々は持ち家を選択する人が圧倒的に多く、中高年になればほとんど引っ越さなくなる、ということになる。
世の中の人々の行動の結果では、持ち家vs賃貸論争は、持ち家派の勝利という結果になっているのである。

(以下略、全文はソースにて)
https://news.yahoo.co.jp/articles/4b29600f3d8dec8414362ceef3e9fc0e65517457