この3月13日のダイヤ改正で、「湘南ライナー」などが消える。JR東日本はライナー列車をかつては高崎線方面、中央線方面にも運行していたが、それらはすでにない。みんな特急になってしまった。最後にライナー列車として残った「湘南ライナー」なども、特急になる。

 そもそもJR東日本におけるライナー列車は、どんな役割だったのか。

着席で通勤を、という目的で運用の間合いを利用した
 もともと各種の通勤ライナーは、特急列車の間合い運用として、たとえば車庫への回送も兼ねて運行されることが多かった。

 いっぽう、通勤時間帯に座れないという状況が続いており、長距離の利用者の中には苦痛を感じる人もいた。

 その時代は普通列車のグリーン車は東海道線、横須賀・総武快速線にしか連結されておらず、ほかの路線では普通車に立ち続けているしかなかった。時間帯によっては寝台特急の運行も行われており、その列車のために普通列車の本数も少なくなっていた。普通列車グリーン車自体もいまのように2階建てではなく、ワンフロアの車両も多かった。しかも普通列車グリーン車でさえ座れないこともあった。

 その状況を解決するのが各種の通勤ライナーだった。私鉄の特急に見習う形で、東北本線・高崎線などで運行されるようになった。

 東海道線、中央線、常磐線、総武快速線方面でも運行されるようになり、利用者は増えていった。

 定員までライナー券を発行し、必ず全員座れることを売りにしていた。ただし、中央線方面にはのちに座席指定制が導入された。

消えるJR東日本の通勤ライナー
 こういった通勤ライナーは、特急の充実・停車駅増加で消えていくことになった。定期券でも特急券・自由席特急券を買えば特急に乗車できるようになり、短距離の特急利用も増えていく。まずは常磐線の「ひたち」が「フレッシュひたち」(現在の「ときわ」)となり、停車駅をこまめに設定して遠距離通勤の需要を取り込んでいく。

 総武快速線方面も、「さざなみ」「わかしお」などが通勤時間帯の運行に特化していく。

 その状況を加速したのが、「スワローサービス」である。「えきねっと」のチケットレスのサービスを特急向けに導入することで、増収とともに席の確保のしやすさを向上させたものだ。

 まずは高崎線方面の「スワローあかぎ」。のちに常磐線の「ひたち」「ときわ」にも導入、中央線の「あずさ」「かいじ」に導入したときには、「中央ライナー」「青梅ライナー」を廃止、「はちおうじ」「おうめ」を新設した。

 新設の際には、必ず車両を新しくした。

「スワローあかぎ」の際には、常磐線の特急で使用されていた651系を改造した。中央線のライナー列車特急化の際にはE353系を導入、E257系を「踊り子」に転属させた。

 新しく中央線特急に導入されたE353系には座席の予約があるかどうかのランプがつけられたとき、いずれ全席指定でチケットレスサービスが導入されることは予想できた。E257系をリニューアルした「踊り子」に乗車した際にも、このランプはついていたので、「湘南ライナー」などの特急格上げ、チケットレスサービス対応は予測できた。

 そしてこの3月で「湘南ライナー」などは特急「湘南」になる。

なぜ廃止に?
 JR東日本の通勤ライナーがなくなり、特急になる理由として、「増収策」というのがある。たしかにそれもあるだろう。いっぽう、私鉄特急が短距離利用を強調し全席指定のサービスを充実させる中で、JR東日本としてもそれに対応していかなくてはいけない。

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3/7(日) 6:30

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