【フランクフルト=深尾幸生】

高級車世界最大手の独メルセデス・ベンツは5日、電気自動車(EV)用の電池の中核部品である電池セルを自社で生産すると発表した。
独南部シュツットガルトの主力拠点に数億ユーロ(数百億円)を投資し、2023年から小規模な量産を始める。
外部からの調達に頼ってきた電池セルを内製することでEVシフトを加速する。

長くメルセデスのエンジン生産の中核だったウンタートゥルクハイム工場を電動車技術の主力拠点に刷新する。
電池のほか、電気モーターなどの駆動装置を開発・生産する。電池セルについては基礎研究や設計に加えて少量生産のための新工場を建設する。

メルセデスはこれまで電池セルを韓国や中国の企業から調達する方針を示し、自社生産には否定的だった。
今後も外部調達が中心になるとみられるが、自社でも生産することで調達する電池の性能や品質の向上につなげる。
電池セルをめぐっては独フォルクスワーゲン(VW)や米ゼネラル・モーターズ(GM)などが電池メーカーと組んで自社生産に乗り出している。

ウンタートゥルクハイム工場でのエンジンや変速機などの生産は段階的に終える。
メルセデスは「人員の削減につながる」とする。現地メディアによると、同工場の雇用は約2割にあたる4千人が減る見通しだ。
同社は20年10月、ガソリンやディーゼルなどの内燃エンジンへの投資を順次縮小し、種類を30年までに7割減らすことを発表していた。
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGR05EHF0V00C21A3000000/