【ロンドン=篠崎健太】米紙ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)電子版は9日、ソフトバンクグループ(SBG)が経営破綻した英金融会社グリーンシル・キャピタルに対し、少なくとも4億ドル(約430億円)を注入していたと報じた。傘下の「ソフトバンク・ビジョン・ファンド(SVF)」が2020年末に貸し付けたという。

企業間金融を手掛けるグリーンシルは、証券化商品の大口の提供先だった運用会社から取引を相次ぎ打ち切られて経営に行き詰まり、8日に倒産法に基づく会社管理手続きに入った。SVFは19年に約14億6千万ドルを出資していた。WSJによると資金はこれとは別枠で、株式への転換権のある負債として提供されたという。

既存の持ち分には経営破綻で大きな損失が生じたとみられる。報道が事実なら破綻の数カ月前に追加拠出した形で、損失が広がる可能性がある。

SBGの広報担当者は日本経済新聞の取材に「コメントすることはない」と回答した。

グリーンシルが提供する「サプライチェーンファイナンス」の利用者には、SVFの複数の出資先企業が含まれていた。20年7月にはスイス金融大手クレディ・スイス・グループのグリーンシル関連ファンドに一時、SVFが5億ドル超を投資していたとも報じられていた。株主、債権者、関連ファンド投資者など様々な立場で、SVFがグリーンシルと結びついていた可能性がでてきた。

日本経済新聞 2021年3月10日 6:28 (2021年3月10日 6:32更新)
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGR1005M0Q1A310C2000000/