★ビットコイン、ニワトリ、イチゴ…農場が考えた金融・農業複合体

カナダの厳しい冬の間、ケベック州ヌーヴィル村ではイチゴの栽培がおこなわれている。農園「Le Caveau a Legumes」
では、暗号資産(仮想通貨)のマイニング機器が生み出す熱を利用して霜と戦い、この地域には珍しいイチゴが育つ。

「厳しい寒さには熱が必要だ。電気代を支払えば、イチゴを育てる余裕はなくなる」と農園の農学者、メリッサ・ギラード
(Melissa Girard)氏は話す。農園は副収入として暗号資産マイニングに取り組む多くの事業主の一つで、エネルギーを
消費する上でカーボンニュートラルなアプローチで取り組んでいる。

▼マイニング機器の熱で農作物を栽培

熱という副産物を暗号資産マイニングのメリットと考える前向きな人たちもいる。ビットコインの登場以来、個人が
マイニングを手がけることは経済的なことではなかった。しかし、わずかなノウハウと塩化ビニール製のパイプ、ダクト
テープがあれば、ビットコインマイニングによって電力料金を節約しながら、利益をあげることができる。

農園は2018年、温室用に熱を生み出し、電力料金を相殺するために暗号資産マイニングを始めた。同じ地域に
拠点を置く新興のマイニング企業ヒートマイン(Heatmine)のパイロットプロジェクトの一環だった。しかし
プロジェクトが軌道に乗ることはなかった。

ジョナサン・フォルテ(Jonathan Forte)氏が設立したヒートマインは、暗号資産の環境負荷に対するソリューション
として自社をアピールしていた。同社は住宅や企業の所有者に対して、マイニング機器を運営して収入をあげ、マイニング
で生まれる熱の一部をリサイクルする方法を提供しようとしていた。同社の取り組みは失敗したが(ウェブサイトは閉鎖され
フォルテ氏はパートナーたちが「約束を果たさなかった」と述べている)、アイデアは専用のマイニング機器なしでも実現している。

▼トマト栽培やニワトリ小屋に

「夏には間違いなく、枝になったトマトを料理できるだろう」とテック写真家でガド・イメージズ(Gado Images)の
CEOトーマス・スミス(Thomas Smith)氏は話す。新型コロナウイルスの感染拡大が始まった頃、スミス氏は暗号資産
マイニング装置からの熱をカリフォルニアにある温室に送り始めた。

スミス氏の暗号資産マイニングについての実験は数年前に始まった。マイニング装置で自宅を暖めることができるかを
確かめようと考えたのだ。実験は成功したが、マイニングにまつわる変わりやすい状況は、趣味への応用に適していると
スミス氏は気づいた。スミス氏は今、飼育しているニワトリが夜、快適に過ごせるようマイニング装置の熱を使っている。

「ニワトリ小屋は換気を良くしなければならないので、造りは少し簡単になる。熱を小屋に入れると、循環して出ていく」
(ニワトリは小屋の温度が約21℃だと卵をたくさん産む)。

自宅や庭、ニワトリ小屋の温度に合わせて、マイニング装置を自動的にオン/オフできるようにならないかを検討しているという。
ニワトリやカプレーゼサラダの価値は抜きにしても、約1600ドル相当の暗号資産を稼いだとスミス氏は見積もっている。

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(一部抜粋)
https://www.coindeskjapan.com/100997/