2021/03/12 15:00 長野県 社会 県北部震度6

 下水内郡栄村で震度6強を観測した県北部地震から10年を迎えた12日午前、同村栄小学校で震災を振り返る会が開かれた。同小の前身の東部小と北信小は震災当時に避難所となり多くの住民が身を寄せた。この日は当時、北信、栄小で音楽を担当していた大槻充教諭(現上伊那郡辰野町辰野東小)がオンラインで全校児童40人余に講演。げた箱などが倒れた校内の写真などを紹介しながら振り返った。
 震災から約半月後の2011年4月に東部、北信の両小が統合し、栄小が開校。大槻教諭は講演で、同年に児童と一緒に歌詞と曲を作った「みんなの栄村」について、村が復興を目指す中「栄村のいいところを見つけ、こういう村にしたいという思いをみんなで語り合いたかった」と思い出を披露した。その後、児童は「世界一やさしい、元気いっぱい栄村」などと歌った。
 震災を振り返る会は震災5年目の2016年から毎年開き、当時の消防団長らが講演。昨年は新型コロナウイルス感染拡大による休校のため開かれなかった。
 村内のJR森宮野原駅前では12日夕から「復興灯明祭」がある。地震の記憶の継承と復興への思いを込め、震災の翌年から毎年開き、10年の節目で一区切りとなる。
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〈県北部地震〉東日本大震災の翌日、2011年3月12日午前3時59分ごろに発生し、地震の規模を示すマグニチュード(M)は6.7で、震源の深さは8キロ。震度は下水内郡栄村で6強、下高井郡野沢温泉村で5弱を観測した。栄村は秋山地区を除く全域に避難指示を出し、最大で全村民の8割近い1787人が避難生活を送った。地震による直接の死者はいなかったが、避難生活のストレスや過労で村民3人が亡くなり、災害関連死に認定された。村内の住宅694棟が被害を受け、全壊33棟、半壊169棟、一部損壊492棟だった。

https://www.shinmai.co.jp/news/article/CNTS2021031200513