厚生労働省に感染症対策を助言する専門家組織「アドバイザリーボード」の非公式会合が11日に開かれた。専門家間で全国的に感染者数が高止まりする状況を確認したものの、21日に期限を迎える首都圏に発令中の緊急事態宣言について延長を求める意見は大勢を占めなかった。政府は来週に解除の可否を判断する方針だ。


 会合は厚労省で非公式に開かれた。複数の出席者によると、感染症の専門家から感染状況の説明があった後、今後の新たな対策や病床確保策などについて話し合われた。内閣官房の資料によると、11日時点で直近1週間の10万人当たりの感染者数は、首都圏でステージ3(感染急増)の基準(15人)を下回っているものの、前週比で東京と埼玉が「1」を上回り、感染者数は微増傾向に転じている。こうした状況から出席者の一人は「延長した方がいい」と主張したが、別の専門家が「これ以上は国民の理解を得られない。延長しても十分な効果が得られるか分からない」などと反論。新たな対策を見いだせないことなども合わせ、出席者の間で延長論は広がらなかったという。


 政府は首都圏で病床の確保を進めており、仮に感染者が減少せずとも基準を満たしていれば、病床使用率の改善を理由に宣言を解除することも検討している。来週中に開かれるアドバイザリーボードの正式会合での議論を踏まえ、最終的に判断する構えだ。【阿部亮介、原田啓之】

毎日新聞  2021/3/12 19:58(最終更新 3/12 19:58)
https://mainichi.jp/articles/20210312/k00/00m/040/255000c