温水洗浄便座をオーディオ用電源で強化したら何が起きたか
ある日、自宅で仕事をしていたら、同僚から「便座が会社に届きました」とDMが飛んできた。

恥ずかしい。プライベートなものをECサイトで買って、配送先を誤って会社にしてしまい、それを見られてしまった(しかも安いモデル)。

そんな私の気持ちを知ってか知らずか、同僚から「風間さん、ついに便座もレビューするんすか?」と追い打ちのDMが来た。

冗談と思ってスルーすべきところだろうが、のせられやすい性格ということもあり、温水洗浄便座を記事にするにはどうすれば良いか、真剣に考え始めた。

弊社の媒体が伝統的に得意としている、同一条件での一斉レビューを行うのは難しい。たくさん便器を用意し、それに便座を取り付け、一つ一つ座って検証していけば良いのだろうが、そんなに便器や便座が用意できない。

■電源で何か変わるのでは? 蘇る炊飯器の記憶

思いついたのが「電源」だ。オーディオについて詳しくない方のためにかんたんに説明すると、我々オーディオに関わるメディアにとって、高音質を実現するために電源環境がとても重要というのは、もはや常識だ。

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かつて私は、オーディオ用電源で炊いたご飯と、そうでないご飯の味を食べ比べる記事を書かせてもらったことがある。

私の感覚では、オーディオ用電源で炊いたご飯は、そうでないご飯に比べてはるかに美味しく、そのポテンシャルの高さに驚いた。そのとき実験に参加した弊社社員の多くが、オーディオ用電源ご飯の方が美味しいと答えたのも、克明に覚えている。

それでは、温水洗浄便座に、オーディオグレードの高品位な電源機器をつないでみたら、何かが起こるのだろうか。それとも何も起こらないのだろうか。

「何も起こるわけねーだろ」と普通は思うだろう。私もこの仕事をしてなかったら、即座にそう切り捨てるはずだ。

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とはいえ今回は、つなぐ機器が温水洗浄便座である。さすがに何も変わらないだろうな…などと思いつつ、オーディオグレードの電源ボックスと電源ケーブルを用意し、実験してみた。

今回使ったのは光城精工の「Force Bar 3.1」という製品。既に販売終了しているが、後継機種が出ている

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温水がお尻を直撃した瞬間、私は心底驚いた。今起きていることは、果たして現実なのか。神経をお尻だけに集中し、何度も確かめる。これが紛れもない現実であることを受け入れるまで、しばらく時間がかかった。

「強い……!!」

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温水洗浄便座をオーディオ用電源で強化すると、水の勢いが強くなるし、その勢いが安定する。ムーブにも力強さが加わる。テストを通じて得られたこれらの結果から、オーディオ用電源の凄さを今回も実感させられた。

とはいえ、これが普通の人にはあまり意味がないのが辛いところ。ぶっちゃけ通常電源でも、水の勢いを「強」に設定すれば事足りるのだ。

ふだん、温水洗浄便座の水の勢いを最強レベルに設定していて、さらなる水圧を求めているという方は、オーディオ用電源で強化する方法があることを覚えておいてほしい。力強い刺激がお尻を満足させること請け合いだ。
http://www.phileweb.com/review/column/202103/13/1235.html

https://www.phileweb.com/news/photo/column/12/1235/RESTROOM_thumb.jpg