新型コロナウイルス対応で首都圏4都県に出ている緊急事態宣言は、1週間後の21日に期限を迎える。医療機関の病床使用率は改善傾向にあるが、東京などでは新規感染者数の増加もみられる。春の行楽による感染再拡大を懸念する声も出るなか、政府は来週半ばにも宣言を解除するかどうかを決める方針だ。

 菅義偉首相は13日午後、首相公邸で、厚生労働省や内閣官房の幹部らから感染状況の報告を受けた。政府は国会の審議日程をにらみつつ、18日にも専門家らによる諮問委員会や対策本部などを開き、首都圏で1月8日から続く宣言の解除の是非を判断する。

 11日に非公式会合を開いた厚労省の専門家組織(アドバイザリーボード)は、首都圏の医療提供体制の逼迫(ひっぱく)は改善してきていると分析。一方で、新規感染者数の下げ止まりが続き、変異株が国内で広がりつつあることへの危機感を確認した。宣言の再々延長については「十分な効果があるか分からず、国民の理解が得られない」などと、複数人が難色を示したという。出席者の1人は「社会への負荷を考えると、とても難しい判断だ」と話した。

 内閣官房のまとめによると、東京の直近1週間の新規感染者数は11日から前週を上回る。ただ、政府は解除の目安として病床の使用率を重視する。首相周辺は「感染者数が微増なら、解除して再拡大(リバウンド)の防止策を考える」。官邸幹部らは経済への打撃を懸念し、感染状況が大きく悪化しなければ21日で解除したいと口をそろえる。

 一方、専門家の間ではリバウンドへの懸念が根強い。昨年はこの時期に花見や卒業旅行などで人出が増え、その後の4〜5月の緊急事態宣言の要因にもなった。従来のウイルスより感染力が強いとされる変異株も、大きな不安要素だ。厚労省の9日時点の集計では、21都府県の271人で変異株の感染が判明。260人は英国型だが、感染力の高さに加え、従来のウイルスに対する免疫が効きにくくなるおそれもある南アフリカ型とブラジル型も計11人確認されている。

首都圏は「感染症対策が困難な地域」
 だが、国内で実際にどの程度広…(以下有料版で、残り877文字)

朝日新聞 2021/3/14 5:00
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