神戸製鋼所が進める石炭火力発電所の増設で大気汚染や温暖化の恐れがあるとして、同社の環境影響評価(アセスメント)を認めた国の通知を取り消すよう周辺住民が求めた訴訟の判決で、大阪地裁(森鍵一裁判長)は15日、住民側の請求を退けた。

 計画では、神戸市灘区の臨海部で65万キロワット発電機2基を2022年までに増設する。完成すれば既設の2基と合わせ計270万キロワットの大型発電所となる。

 環境アセスは、事業者が計画を説明する「配慮書」をはじめ、4段階で審査。最終的な「評価書」について経済産業相が適正と認めれば、建設工事に進むことができる。

 経産相は18年5月、評価書を適正とする「確定通知」を出し、神鋼は同年10月から建設を始めた。住民らは11月、二酸化炭素の排出抑制や微小粒子状物質(PM2・5)などの大気汚染対策が不十分だとして、通知取り消しを求めて提訴した。

 住民らは今回の訴訟とは別に、発電所の建設や運転の差し止めを求め、神戸地裁に提訴している。【伊藤遥】

神戸製鋼所火力発電所増設計画
 神鋼の神戸製鉄所に隣接する臨海部(神戸市灘区)で石炭火力発電機2基(計130万キロワット)を増設する。2018年10月に着工し、3号機は21年度、4号機は22年度に稼働予定。事業主体は100%子会社「コベルコパワー神戸第二」で、関西電力に売電する契約。1、2号機(計140万キロワット)は02年以降に稼働している。


毎日新聞 2021/3/15 15:22(最終更新 3/15 15:22) 605文字
https://mainichi.jp/articles/20210315/k00/00m/040/129000c